シンプソンズ・ファンクラブ・ブログ

「ザ・シンプソンズ」を日本で広めるために日本語吹替版のエピソードガイド、グッズを買えるお店の紹介、大平透さん使用のアフレコ台本の研究、等々を掲載しています。

大平さんのシンプソンズ台本:シーズン2、第20話「シンプソン家の戦争:The War of the Simpsons」

シーズン2、第20話「シンプソン家の戦争:The War of the Simpsons」May 2, 1991
(日本初回放送:1993年2月6日、録音日:1993年1月14日)

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大平さんは、ゲスト出演された釣り番組で冗談交じりに“大ヘラ透”と名乗られていたほどの釣り好き。我々がご自宅兼事務所にお邪魔した際には、釣果のアユがてんこもりだったことも・・・!そんな大平さんが演じられる、釣り好きホーマーにまつわるお話。


<以下、ネタバレになります>


【画面】(台本上の通信欄)

・01:21 字幕「パーティースナックをどうぞ」

・02:23 プランダースパンチ:パンチの一種

脚注

・03:45 字幕「つまらないパーティー

・04:20 マギー、お札を破く

状況説明

・10:29 字幕「ナマズ湖 8マイル」

・10:32 字幕「エサの店」

・11:19 ゲーセン ゲームセンター 最近の小学生はゲーセンとしかいわないので・・・
S2「落第バート」のアフレコ台本にも同様の脚注がありました。
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・12:38 原音 ハルピュイアの女王(怪物の名)

日本ではマイナーなので、分かりやすくメデューサに変更されたものと思われます。
翻訳家・徐賀世子さんのセンスが輝きます!


【音声】

・01:35 ホーマー、それは結婚式・・・

台本上は「初めてのパーティーって一度やったじゃないか~牧師までよんで」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「初めてのパーティーって一度やったじゃないか~牧師までよんで・・・」に。
1文字分の追加でホーマーの口パクにピッタリになっています!

・02:45 フランダースのプランダースパンチにベロベロのホーマー

台本上は「・・・ろれつがまわんない・・・きくぞ・・・もう一杯」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「・・・ろれつがまわんない・・・きいて来た・・・もう一杯」に。(画面欄余白にも「酔」とのメモが)
次第にベロベロになってくる大平さんのお芝居に合わせて、セリフもじわじわ酔ってきている表現に微調整されているわけですね。

・03:05 酔った勢いでセルマとパティを口説くバーニー
台本上は「あんた覚えてるよ・・・でもこんな美人だったっけ《 》イテェー《 》」とあるところ、最終的な音声では「あんた覚えてるよ・・・でもこんな美人だったっけ《ケケケケケケケッ・・・あっなにすんだ!》イテェー《イテェーじゃねえかよー》」に。
広瀬さんバーニーも原語版のダン・カステラネタ氏のお芝居を尊重しつつ、広瀬さんの豪快なお芝居の要素も追加され、魅力的なキャラに仕上がっていますよね。

・05:09 泥酔ホーマー

ページの余白に大平さんのメモでいびきの声を表す「グー」と書かれています。

・06:16 ホーマーの妄想の世界
客男2のセリフ、台本上は「今シーズン一番のジョークじゃないか」とあるところ、最終的な音声では「今シーズン一番のジョークじゃないかこれってになっています。
原語版のセリフの長さに合わせ、現場で追加されたようです。

・07:06 バートと男の対話をするホーマー
台本上は「お前にはどういうことだったかわからない・・・」とあるところ、最終的な音声では「お前にはどういうことだったかわからないだろうけど・・・」になっています。
元の台本のセリフはバートのセリフに遮られる演出で途中で切られているわけですが、ホーマーのしゃべるスピードの調整と口パクに合わせるようにセリフが足されています。

・08:15 ラブジョイ牧師から第三回夫婦生活修復セミナーへ参加するか問われるホーマー

台本上は「あー行きたいのは山々なんですけど、すばらしい提案だと・・・マージ!」とあるところ、最終的な音声では「あー行きたいのは山々なんですけど いやァ、すばらしい提案だと・・・マージ!」に。
少しの追加ですが、わざとらしく白々しい、滑稽なホーマーが見事に表現されていますよね。

・09:12 ベビーシッターが来ないと!と嘆くホーマー

台本上は原語版に忠実に「あーそんなーベビーシッターが来なきゃ行けないよォ」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「あーそんなーベビーシッターが来なきゃナマズ行けないよォ」に。
大平さんがどうしても釣りに行きたいホーマーを強調するため、またセリフをより分かりやすくするために追加されたものと思われます。

・09:26 急遽マージから子守をお願いされるエイブじいちゃん
台本上は「《 》何だ」とあるところ、最終的な音声では「《あーっ》何だってんだよになっています。
エイブじいちゃんの滝口さんも、事前に台本に書き込みをたくさんされて、よりよいセリフに仕上げられるスタイルで有名でしたので、きっとこのシーンでもエイブじいちゃんならこう言う!というお考えのもと、最終的なセリフが出来上がったものと想像します。

・11:15 ホーマーのシャーマン将軍釣り上げ宣言に驚く男たち
男1(店主の)のセリフ、台本上は「ヘェー本気?」とあるところ、最終的な音声ではアリャ本気?」になっています。
S2「パパとママの恋物語では高校教師役等でも出演されていた、沢りつおさんによる市井の人感溢れる自然なセリフの数々が素敵です。
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・11:26 おじいちゃんに申し訳なくなったリサに対してバートは・・・
台本上は「リサ こんな訳のわかんない時代に善悪の基準なんかない」とあるところ、最終的な音声では語尾に「よ」が追加されています。
これによりバートの口パクにピッタリになっていると同時に、堀さんが語尾の「よ」に力を入れていることによって、よりリサに説教している感じが出ていますよね。

・11:45 フランダースに茶化されたホーマー
台本上は「あんたに関係ない」とあるところ、最終的な音声では語尾に「よ」が追加されています。
こちらも、これにより口パクにぴったりに。

・12:18 日ごろの夫への不満を話すグロリア
台本上は「ここに来たのは夫のジョンが久しく男としての務めを果たせないでいるから」とあるところ、最終的な音声では「ここに来たのは夫のジョンが久しく男としての務めを果たせないでいるからなのよ たくもうに。
こちらもキャラの口パクに合わせて、セリフが足されています。

・12:34 ジョンもグロリアに仕掛ける
台本上は「料理はしない掃除はしない毒舌をふるう」とあるところ、最終的な音声では「料理はしない掃除はしない毒舌をふるうになっています。
バーニーの広瀬さん節がここれも炸裂。

・14:01 マージの日ごろのうっ憤の数々に滅入るホーマー
台本上は「《 》本当です全部本当・・・」とある部分の、大平さんに委ねられている《 》部分に大平さんは「トホホ」を入れこまれています。
このホーマーのトホホ、シリーズ通してちょくちょく登場してきますが、情けなくてホーマーというキャラを分かりやすく表現されているものだと強く感じます。

・15:00 マクベイン、初登場!
初期シリーズでは、スキナー校長の青森伸さんが兼役で担当されています。
(後期シーズンでは、ファット・トニー役の津田英三さん)

・16:19 少年に忘れ物の存在を教えてあげるホーマー

台本上は「オイ坊や 忘れてるよ」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「オイ坊や竿忘れてるよ」になっています。
画面の映像を見ながら、より分かりやすく、と大平さんが追加されたものと思われます。

・16:31 シャーマン将軍と格闘するホーマー
台本上は「泳ぎ回って疲れたところを一気に引きあげてやる フライパンとバターがよだれたらして待ってるぞ」とあるところ、最終的な音声では「泳ぎ回って疲れたところを一気に引きあげてやる フライパンとバターがよだれたらして待ってんだからもうに。
踏ん張りながら躍動感満載のホーマを、大平さんのテクニックでより素敵に仕上げられています。

・17:06 悪友オットーにも連絡するバート
台本上は「友達も呼べ?いいけど・・・俺のダチぶっとんでるぜ」とあるところ、最終的な音声ではダチも呼べ?いいけど・・・俺のダチぶっとんでるぜ」になっています。
ここでは友達をダチで統一させたようです。このように、こだわりが細部にまで・・・実にエクセレント!です。

・17:55 ホーマーの大格闘は続く・・・

台本上はナマズ・・・」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、ナマズめ!・・・」になっています。
ちなみにこの後、ホーマーは釣り番組の司会者くらい有名になりたいと言っていますが、偶然にもホーマーの大平さんはテレビ大阪制作・テレ東系列放送のご長寿釣り番組「THE フィッシング」でナレーションを務められていました。

・18:57 ついにとどめを刺すホーマー

台本上には原語版同様に何もセリフが書かれていませんが、大平さんのお考えでとどめを刺すシーンに「コンチクショー」とのセリフが追加されています。
無音でとどめを刺している様子がちょっとキツめに感じられた大平さんが、ちょっとでもポップにさせるために追加されたものと想像します。

・19:06 メチャクチャの室内にショックを受けるエイブじいちゃん
台本上は「ちゃんと留守を守ろうとそう思ったのに・・・俺は役立たずの老いぼれのドアホウだ」とあるところ、最終的な音声では「ちゃんと留守を守ろうとそう思ったの・・・俺は役立たずの老いぼれのドアホウだに。
こちらでも滝口さんのテクニックが炸裂しています!

・19:40 Queenの“We Are the Champions”の替え歌(自作)を熱唱するホーマー

大平さんホーマーも大熱唱です!

・20:08 マージの話を遮るホーマー
マージのセリフは台本上には「貴方みたいなウソつき・・・」とありますが、ホーマーの話を聞いていない具合を表現するため、「ウソつき・・・」に被る感じで、つまり大平さんがご自分で演出されて台本の記載よりも食い気味でホーマーのセリフを吹き込まれています・・・まさに匠の技!
この後のセリフでも、テリー・サバラスの吹き替えよろしく豪快に一城さんマージとぶつかっていますので必聴です。

・20:28~ホーマーとマージのやりとり
大平さんと一城さんのお芝居から温かさが溢れ出ています!