シーズン2、第18話「マージは芸術家:Brush with Greatness」April 11, 1991
(日本初回放送:1993年1月24日、録音日:1992年12月10日)
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表紙の「2」は、3本録りの2本目を表す大平さんのメモ。
<以下、ネタバレになります>
【画面】(台本上の通信欄)
・01:39 字幕「2時間駐車無料」「鼻栓レンタル」「怪我治療所あり」
・02:24 TV男 「ここを早くやると点になるんですが」
テレビの声がホーマーとバート&リサのセリフと被るため、画面欄に記載されています。
・03:07 スプラッシュモア
場面説明。
・08:55 字幕「コミュニティーカレッジ カルチャーセンター」
・11:40 字幕「美術展 今日審査」
・16:40 字幕「その頃イギリスのどこかで・・・」
・17:22 字幕「その頃 スプリングフィールドでは」
・18:36 字幕「ホイップクリーム」
・19:52 字幕「バーンズ館 寄贈式典」
・19:54 除幕式
場面説明。
【音声】
・01:54 スプラッシュモアおねだりの歌
台本上は「スプラッシュモアに連れてって 行きたい・・・すぐ・・・今すぐスプラッシュモアに連れてって イエ~イ」とあるところ、最終的な音声では「スプラッシュモアに連れてって 行きたい行きたい今すぐに 今すぐ今すぐ今すぐに スプラッシュモアに連れてって イエ~イ」と、歌詞がメロディに完璧に当てはめられています。
なお、このシーンではマージの一城みゆ希さん(松竹音楽舞踏学校出身、NHK・ヤング101のメンバーにして元うたのおねえさん、さらにソロシンガーデビューまでされたプロ歌手でもあります)をはじめ、女性の出演者の方がキッズたちの声で大熱唱されています。
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・02:12 お馴染みのホーマーへの執拗なおねだり(記念すべき?第一回)
台本上はひたすら、バート&リサ「スプラッシュモアに連れてって」→ホーマー「ダメ」なのですが、大平さんの書き込みからも「ダメ!」「ダァメ!」「ダメ!!」「ダメだってば」等、リズムやテンポを調整されながら演じられていたのがよく分かります。
台本に指示として書かれていない部分までご自分で演出されながら収録に臨まれていたわけです。
・02:35 どうにかしておねだり地獄から抜け出したいホーマー
台本上は「スプラッシュモアに連れて行けばもう言うのやめるか!?」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「スプラッシュモアに連れってって言うのもうやめるかよ!?」になっています。
この後に、バート&リサ「じゃ連れてってくれる(台本上は「じゃスプラッシュモア連れてってくれる?」)」→ホーマー「ああ」と出てくるためか、大平さんが考えられて、ホーマーからスプラッシュモアに連れて行けばおねだりをやめるのか聞くセリフを、おねだりをやめさせるセリフだけにして、次のバートとリサのセリフにつなげたものと考えます。
ここも大平さん演出がさく裂しているわけですね。
・02:57 マージから水着で隠しきれてないと言われるホーマー
原音ではホーマーのうなり声のみで台本上も息遣いの指示のみなのですが、大平さんがアドリブで「どこが」と入れられています。
・03:47 スプリンクラー作戦で行列をかわすバート
台本上は「通るよ通るよ失礼前に行くよ」とあるところ、最終的な音声では「ごめんよごめんよちょっとごめんよ」に。
堀さんの気の利いた悪ガキ感が満載です!
・04:01 マージ監視員による安全な水遊び
台本上は「ダメよマギー 浅い方にいて」とあるところ、最終的な音声では「ダメよマギー 浅い方にいてちょうだい」と、さらに優しい一城さんらしい温かさ溢れるママのイメージに。
・05:37 恐る恐る皆に尋ねるホーマー
台本上は「父さん ちょっと太り気味かな」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「パパ ちょっと太り気味かな」になっています。
ホーマーから子供たちに話しかける際の一人称はこれまで「パパ」であったことから、大平さんが統一を図るためにセリフを直されたようです。
なお、ホーマーがエイブじいちゃんを呼ぶときは「父さん」、リサからホーマーは「パパ」、バートからホーマーは「オヤジ」と、それぞれ翻訳のルールがありました。
・06:39 風と共に去りぬのパロディシーン
おなかの音に反応したホーマーのセリフ、台本上は「あー黙れ」なのですが、大平さんが手を加えられ、原語版と同様に「どッ黙れ」になっています。
さすがの大平さん、"D'oh!"は見逃しません!
・06:52 鏡の前で驚くホーマー
台本上は「鏡の前で電気つけるな!」とあるところ、最終的な音声では「鏡の前で電気つけるなってんだ!」になっています。
こちらでは、ホーマーの口パクと合わせるために語尾に言葉を足されています。
・08:52 たった35カロリーのライスクラッカー
台本上は原語版に忠実に「たった35カロリー」なのですが、大平さんによって手が加えられ、「ちょっと上にのっけただけ」に。
やんちゃなホーマー感がよく出ていますよね。
・09:33 絵画教室のロンバルド教授
声を演じるのは、アーティ役でもお馴染みの俳優のジョン・ロヴィッツ氏。
吹き替え版では、ドラゴンボールシリーズのウーロン役でお馴染みの龍田直樹さん。
・10:08 ウエイトバンドで動けないところをバートに狙われるホーマー
ホーマーのうめき声はすべて大平さんのアドリブ。
「“ドボロー”め!」がいい味を出してます。
・11:58 マージの受賞を喜ぶホーマー
台本上は「イェイ!《 》俺は芸術だ!」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「イェイ!《爆発だ!》俺は芸術だ!」に。
大平さんのべらぼうな夢がある((c)岡本太郎氏)アドリブ!
・12:18 次々に絵画をボツにするバーンズにスミサーズが・・・
台本上は「社長・・・美術館のバーンズウイングの開会式は6日後に迫ってますが」とあるところ、最終的な音声では「社長・・・芸術の粋を集めたバーンズ館の開会式は6日後に迫ってますが」になっています。
より日本人に耳馴染みがある表現に現場で変更されたようです。
・13:07 体重計に乗っているホーマーの“D'oh! Whoo!”。
大平さんの台本の書き込みにも、しっかりと「ドーワッ!」があります。
・13:21 マージに痩せたことをアピールするホーマー
台本上は「ズボンがブカブカになったぞ」とあるところ、最終的な音声では「ズボンがブカブカになっちゃったよ」に。
マージに甘えている感じがよりよく伝わってきますね。
・13:31 マージに促されわざとらしくホーマーを励ますバートとリサ
バートのセリフ、台本上は「ずいぶんやせたね」とあるところ、最終的な音声では「やせたねオヤジ!」に。
実にバートなセリフに大変身!
・13:58 家の扉を開けるマージ
台本上は「バーンズさん!どうぞお入りになります?」とあるところ、最終的な音声では「バーンズさん!どうぞお入りになりません?」になっています。
ちょっとの追加で口パクもぴったりにしつつ、さらに品が良い雰囲気に。
・14:18 バーンズ社長によるリンゴ・スターの知識
原語版では演奏を聴いたエド・サリバン氏の気持ちで“What was Ed thinking?(直訳:エドはどう思ったのだろう?)”となっている部分が翻訳家の徐さんの華麗な意訳で「あのイカレポンチ(どもか)」になっています。
毒舌のバーンズらしくて笑えるセリフになっていますね!
・15:44 新聞のマンガのページを拝借されちゃったホーマー
台本上は「オイ誰だ マンガのページだけ抜いたのは」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「オイ誰だ マンガのページだけ抜いちゃったのは」になっています。
こちらも口パクぴったりにしつつ、ホーマー感もアップ。
・16:44 リンゴ・スター氏、本人役でゲスト出演!
吹替え版では、大塚明夫さんが声を担当!
ちなみに、大塚さんは、S3#16「先生は恋人募集中」にもゲスト出演されています。
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・18:28 怒りが限界に達したマージ
一城さん演じる家族を心から愛するマージが、大切な家族のために激怒する演技は胸に来ます。
また、バーンズが帰る際のセリフ、台本上は「お気遣い感謝するよ」なのですが、最終的な音声では「お気遣い本当に感謝するよ」になっています。
口パクを合わせつつ、追加によりバーンズの嫌味な感じがよりよく出ています。
・21:37 マージに耳打ちするバーンズ
台本上は「私の性器を笑い者にしないで」とあるところ、最終的な音声では「私のナニを笑い者にしないで」になっています。
大平さんも台本上に書き込まれていますが、ちょっと直接的だからか、幅広い年代への視聴を想定していたWOWOWならではの気遣いによる変更かと思われます。
さらに、最後のマージの「したんだけど」もテンポと間が抜群です!
変な言葉やギャグで笑わせるセリフではなく、普通の言葉をこのようにテンポと間で笑わせるセリフに仕上げるのは、やはり一城さんのようなお上手な方でないとできない技です。