シーズン3、第12話「マージと結婚して:I Married Marge」December 26, 1991

(日本初放送:1993年11月6日、録音日:1993年8月30日)
simpsons333.hatenablog.com
表紙から分かるように、WOWOW放送時は#10として放送されました。
<以下、ネタバレになります>
【画面】(台本上の通信欄)
・01:21 以前、ラスティバーナクルというレストランが出たのでバーナクルで統一

以前出てきた名称に気づけるのも日本版制作スタッフがワンチークでやっているからこそ。
近年ありがちな低予算吹き替えだと、スタッフも流れ作業的だったり、また翻訳家も各話によってばらばらだったりするので、以前出てきた名称やお決まりのセリフ等を取りこぼしがち。
・02:30 原音“親父マシーン”みたい

バートのセリフで吹き替え版では「親父でかしたじゃん」になっている部分。
・03:05 字幕「1980 スプリングフィールド」

・04:42 映画館

場面説明
・06:35 見つかったらどうするともとれます
マージの「できちゃったらどうする?」に対して翻訳の注釈が。
・06:37 原音“難攻不落”と“妊娠しない”をひっかけている
ホーマーの「大丈夫 この城はタマ入った事ないんだから」に対して。
・07:13 #25とそろえました

ヒバート先生の「ミス・ブービエー」との呼び方に対して。
ちなみに、ここでいう#25(アフレコ台本のナンバリング)とはS2#12『パパとママの恋物語"The Way We Was"』を指しています。
simpsons333.hatenablog.com
simpsons333.hatenablog.com
・09:35 原音 となりの州を入ったところまずネバダ州安い結婚式ができるんで有名

・09:40 カジノとはいってませんが後でゲームのチップを渡すのでここで言っとかないと分からない
ホーマーの頭の声のセリフに対して。
翻訳家の徐さんがストーリー全体を通した演出をされ、適切な日本語を当てはめられています。
ただ翻訳をするだけが吹き替え版の翻訳家の仕事ではないことがよく分かるシーンですね。
・10:27 原音 テッド・ベッセル
マージの理想の男性の例。
TVのシットコム等でお馴染みであった俳優で、シンプソンズの前身となった短編作品が放送されていた“The Tracy Ullman Show”にも参加されていました。
吹き替え版では日本の視聴者に分かりやすくアレンジが加えられ、ロバート・レッドフォードになっています。
ちなみに、本エピソードの日本放送の前年である92年にレッドフォード氏主演で公開された映画『スニーカーズ』にはダース・ベイダーの声でお馴染みのジェームズ・アール・ジョーンズ氏も出演されていますが、こちらの吹き替え版でもジョーンズ氏の声を我らがホーマー・大平さんが声を担当されています。(『スニーカーズ』の吹き替え版制作は『スター・ウォーズ』と同じ会社なので、このあたりのお約束は外しません!)
・11:55 原音 アルファタウ(アルファベットのT ごろあわせ)

スミサーズのセリフで吹き替え版では「元気かこのアルファベットタウ」となっている部分。
・11:58 原音 スミサーズ このヒーグメイスター(タル作りの名人→ごろあわせ)
スミサーズの旧友ルーのセリフで吹き替え版では「スミサーズ!サザンがアイランド!」となっている部分。
・13:24 字幕「キャンドルメイカー」
・14:01 字幕「攻撃的な犬矯正学校」
・14:14 字幕「何もしないで億万長者」
・14:56 モービル細工(ベビーベッドの上に吊るすおもちゃ)
吹き替え版では“モビール”になっている部分の説明。
・16:16 原音 アイシング(砂糖ごろも)のかんづめ 分かりにくいので変えました よくケーキなどに使う

バートの「お昼にホイップクリーム食べていい」というセリフに対して。
最近でこそお菓子のアイシングという言葉を日本でも一般的に使うようになりましたが、この時代では全くだったので視聴者に向けた配慮が手厚くされていたことがよく分かりますね。
・16:28 字幕「ガルプNブロウ」
・17:42 ガルプNブロー
場面説明
・20:40 誰かがカバーしてくれる
ホーマーのセリフで吹き替え版では「一日位休めるだろ」になっている部分。
・20:56 手の指が8本 足の指が8本あればいい 差別的セリフになるとまずいので変えました

ホーマーのセリフで吹き替え版では「悪魔だって他の男に似てなけりゃそれだけで十分だよ」となっている部分。
この指問題は、シンプソンズ日本放送開始に際して当時の関係者の方々もだいぶご苦労されたとお聞きしていますので、ここまで敏感になるのにも納得です。
【音声】
01:53 マージに尋ねるホーマー

台本上「あーマージ 本当にできたのかな?」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「あーマージ 本当にできたのか_?」になっています。
大平さんのテクニックが詰め込まれたことによりいつもよりちょっと重めなホーマーの雰囲気に注目です。
・02:21 ホーマーの言い訳に気づくバート
台本上「これはクサイよ」とあるところ、最終的な音声では「こりゃクサイ」になっています。
堀さんバートのこのやんちゃ感、やっぱり最高です!
・02:44 赤ん坊時代の自分の事をたずねるバート
台本上「俺の時も大変だったんだ?」とあるところ、最終的な音声では「俺の時も大変だったの?」になっています。
・03:24 若き日のホーマー

第一声の台本のセリフの上には、大平さんのメモで「若」の文字が。
現代のホーマーと演じ分けるため、大平さんが普段よりも高めの声で演じられています。
・03:27 10年前の回想シーンに挿入される現代のホーマーの語り

台本上「まだパパは24だった 美人の彼女に、将来性のある仕事…オイ!何でパパの話聞かないんだ!」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「まだパパは24だった 美人の彼女に、将来性のある仕事 そして (あ)…オイ!何でパパの話聞かないんだよ!」になっています。
こういったセリフ運びと、元々ないセリフをちょっとだけ隠し味に加えるセンス、大平さんならではの名人芸でしびれます。
・03:42 スタッフもお気に入りの名セリフ

リサ「集中力が持続しないのは私達の世代の特徴よテレビ漬けの悪影響でしょ」
“It's not our fault our generation has short attention spans, Dad.We watch an appalling amount of TV.”
ホーマー「人類最大の発明にそんな言い方するんじゃない」
“Don't you ever, ever, talk that way about television.”
・03:59 ホーマーから逃げようとするマギー

台本上(原音でも)マギーとは呼んでいないのですが、大平さんの判断で「お前は話を聞くんだよ」が「マギーは話を聞くんだよ」に変更されています。
また、その後の“two wicked sisters(直訳:邪悪な2人の姉)”は、徐さんの手にかかると「性格ブスの姉さん」となり、大平さんの演技と融合することで完璧な日本版ホーマーが完成しています。
・04:09 ブービエ家の母娘
4人の登場人物を、日本版では一城みゆ希さん(マージ、セルマ)、鈴木れい子さん(パティ、マージ母・ジャクリーン)のお2人で演じられています。
お2人の演じ分け、また現代とは意識的に声を高めにして若いキャラたちを演出されている部分は必聴です!
・04:38 マージを迎えにきたホーマー

台本の大平さんのメモになるとおり、声にエフェクトをかけるためホーマーのここのセリフのみ抜き録り。
・04:46 どんなことを考えているのかマージに尋ねられるホーマー

台本上「《 》女の事」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「《ウーン》女の子」になっています。
・05:06 『スター・ウォーズ/帝国の逆襲』を観終わったホーマーとマージ

映画館あるあるとして人気のシーンですが、日本のファン的には“ホーマー”大平さんは“ダース・ベイダー”大平さんでもあることから、それを知っているとさらに面白シーンに!
おまけにルークはクラスティだし・・・
・05:24 デビー・ブーン『You Light Up My Life / 恋するデビー』を歌うホーマーとマージ

こちらでは、大平さんホーマーと一城さんマージが英語歌詞で歌われています。
大平さんの台本にも音符が踊ります♪
www.youtube.com
・05:52 いちゃつくホーマー
原音では“No, you.”となっている部分、台本上の徐さんの翻訳では「違うユー」なのですが、大平さんによって手が加えられ「他のユー」になっています。
大平さんの絶妙なバランス感覚で細かなセリフ運びも完璧にチェックされていることがよく分かります。
・06:36 マージの心配事に対して

台本上「大丈夫 この城は絶対当たりが出ないから(原音“Don't worry. This castle is impregnable.”)」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「大丈夫 この城はタマ入った事ないんだから」になっています。
徐さんの計算された下品さとセンス溢れる翻訳を絶賛されていた大平さん、こちらではあえて比較的上品に仕上げられた徐さんのセリフに対してちょっと下品に俗っぽいセリフに変更されています。
・07:01 マージと電話するホーマー

ホーマーがいるバーニーの部屋にBGMがかかっているため、マージは抜き録りに。
・07:08 ホーマーに報告するマージ
06:36のセリフ変更に伴いマージのセリフも「アレが当たったみたいなのよ」から「アレでできちゃったみたい_」になっています。
・07:20 おめでたの事実を知ったホーマー

台本上「ウソだ~」とあるところ、最終的な音声では原語版に忠実に「ドーッ」になっています。
大平さんの力強い「ドーッ」のシャウトが病院中に鳴り響きます!
こちらも声にエコーをかけているので、抜き録りのメモ有。
・07:49 勇気を出してマージに話し始めるホーマー

原語版では“but I'm afraid because if you say “no” it'll destroy me and make me a criminal.(直訳:でもあなたがノーと言えば、私はおかしくなり、犯罪者になってしまうのが怖いんです。)”とあるところ、翻訳家の徐さんの手にかかると「でもノーって言われたら俺はパッパラパーの女たらしになる」になるんです。
徐さん節炸裂の、まさに日本版シンプソンズの翻訳の魅力が詰まったともいえるセリフ作りに惚れ惚れします!
さらに、そこに大平さんも手を加えられ、「でもノーって言われたら俺はパッパラパーの女たらしになっちゃう」に。
最強の翻訳に最強の演者さん、もう無双状態です!
・08:04 一生懸命メモを探すホーマー
台本上「クソッ肝心な時にどこに落ちたんだろ」とあるところ、最終的な音声では「クソッ肝心な時にどこに落っことしたんだ」になっています。
セリフの尺調整はもちろんですが、モノを探す声の表現は大ベテランならでは。
・08:37 プロポーズ大成功でテンション爆発のホーマー

音声はもちろんですが、台本のメモもテンション高めです。
・08:59 バートとリサに自分たち夫婦を重ねるホーマー

台本上「パパとママも10年前同じような事言いあいしたよ」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「パパとママも10年前同じような事言いあいしたもんだヨ」になっています。
しみじみ思い出している様子がよりよく表現させる語尾に。
・09:11 マージの名前案を即却下するホーマー

台本上「ラリパッパのラリーっていじめられる」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「ラリパッパのラリーっていじめられちゃうもん」になっています。
大平さんホーマーお馴染みのマージに甘えたセリフ運びもたまらなく愛おしい!
また、その後に続々登場する名前の案も、直訳だとうまくジョークとして成立しないものばかりなところを、徐さんの翻訳センスで見事にカバーされているところにも注目です。
・12:12 アラバマ同窓会メンバーで合唱

ホーマーも途中参加。
こちらもちゃんと吹き替えられています。
大平さんの台本にも音符が。
・12:32 面接でスミサーズから欠点を問われたルー

台本上「ワーカホリックなところかな」とあるところ、最終的な音声ではワーカホリックの脇にカッコ書きされていた「仕事中毒」が採用され、「仕事中毒なところかな」になっています。
こちらも今ほど一般的な言葉でなかったため(あと、もちろん幅広い世代に楽しんでもらうため)、日本語で分かりやすく表現されたようです。
・12:49 面接会場から逃げ出すホーマー

原音では言葉にならない言葉であるため台本にも記載がありませんが、大平さんのメモからも分かるように吹き替え版では「ワ~タイヘンだ~」とのホーマーの叫び声が追加されています。
・13:36 打ち首になる役すら“クビ”になるホーマー
エイブじいちゃんの滝口さんが演じるボスのセリフ、台本上は「役立たずめ!お前はクビだ!」ですが、最終的な音声では「この役立たずめ!お前はクビだ!」に。
滝口さんも大平さん同様にご自身のセンスでセリフをより生き生きさせていきます。
・13:58 スラッシュ社の包丁と握手する老婆
握手する瞬間、原音は無音なのですが、吹き替え版では日本独自のアレンジとして刀の音のようなSEが追加されています!
とにかく視聴者ファーストのつくりということがこういうところからもよく分かりますね。
そして、老婆の叫び声も必聴!原音と比べていただけるとよく分かるかと思いますが、本エピソードにパティ役で出演されている鈴木れい子さんによるオリジナルの3倍くらい行っているパワフルボイス!!
・17:25 夢の原発へのドーナツ配達車

ダン・カステラネタ氏の原音ももちろんしっかりチェックされている大平さんは、ホーマーの声「ワーオ」とのメモとともに、「低」ともメモされています。
これは、普段より低いカステラネタ氏ホーマーの“Wow.”の声を聴かれた上でメモされたものです。
・17:28 パティよりちょっとだけ優しいセルマ
マージとセルマの会話シーンは、一城さんの1人2役。
一城さんの幅広さがよく分かるシーンです!
・17:47 注文をとるホーマー

台本上は原音に忠実に「フレンチフライつける?」なんですが、大平さんによって手が加えられ「フライドポテトつける?」になっています。
こちらも、今ほど一般的でなかったフレンチフライとのメニュー名を大平さんの提案で当時も今もメジャーなフライドポテトに置き換えたものと思われます。
・17:57 マージの大きくなったお腹を初めて見たホーマー
台本上「山のようなお腹になっちゃったね」とあるところ、最終的な音声では大平さんによって手が加えられ「スイカみたいなお腹になっちゃったね」になっています。(その前には、「タイコみたいなお腹になっちゃったね」との別案も書き込まれています。)
常にベストを追求されている、職人大平さんがここにも垣間見えます。
・18:20 日本風に言うと『101回目のプロポーズ』(良い子のみんなはパパママに聞いて!え、もはやママパパも世代ではない・・・?ドーッ!!)を彷彿させる素敵なラスト
大平さんホーマーと一城さんマージが生み出す温かな雰囲気、これは間違いなくこのお2人だから出せたもの。
泣けるシーンはもちろん、ここなんかはまさしくそうですが、ギャグのシーンもそれはもう息ぴったり!
一般的に、お芝居の世界では泣かせるシーンより笑わせるシーンの方が何倍も難しいと言われますが、このお2人の手にかかると軽々とそのハードルを越えていかれます。
また、そんな演者さんはもちろんですが、完璧な吹き替えキャストのキャスティングをされた春日ディレクターも改めてすごすぎます!!
・18:37 マージからなぜあなたと結婚したと思う?と問われたホーマー

原語版“Cause I Knocked you up?(直訳:孕ませたから?)”(過激)→台本上のセリフ「しつこかったから?」(上品)→最終的な大平さんホーマーのセリフ「できちゃったから?」(ちょうどよく下品)
大平さん、制作スタッフのみなさんのこのあたりのバランス感覚が絶妙です!
・19:27 バーンズ社長に直談判するホーマー

台本上「雑巾のように扱われてもあんたの尻もなめれば阿波踊りも踊る」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「雑巾のように扱われてもあんたの尻もなめれば阿波踊りもやる」になっています。
大平さんの細かな部分までのチェックに、徐さんの“日本語をしゃべるホーマー”ならではの翻訳が光ります!
・20:00 時系列的におそらくバーンズがスミサーズにあのお決まりのセリフを初めて尋ねた瞬間
バーンズ社長のセリフ「あの若い赤鬼の名は?」の赤鬼部分は、原音では“Hellcat”(直訳すると「地獄の猫」、意味合いとしては「性悪女」)と言っており、バーンズらしい皮肉なわけですが、これに日本語として「赤鬼」を当てはめた徐さんのセンスはやはりさすがです!
・20:13 マージ母ジャクリーンと話すホーマー
台本上「有難うお母さん」となっている部分は最終的な音声では大平さんの遊び心で「有難うおっかさん」になっています。
その後の鈴木さんジャクリーンのツッコミと相まって面白いのなんのって・・・!こちらも名人芸の世界。
・20:22 パティにキレるホーマー

原音では“No, you listen.(直訳:いや、聞け!)”とあるところ、徐さんのいい感じの下品な訳で「うるさいダブルブス!」となり、そこにさらに大平さんホーマーのお馴染みのエッセンスで「ウルヘエ ダブルブス!」になっています。
嗚呼、素晴らしき日本版シンプソンズの世界・・・!!
・20:49 ヒバート先生に挑むホーマー

大平さんによる台本の書き込みから分かるように、声にまさに「!?」がつくような威勢の良い日本版ホーマーのお芝居は必聴です。
・21:20 子供たちに優しく語り掛けるホーマー

台本上「お前が生まれてきた時人生で最高のプレゼントをもらったと思った~毎日お前達が生まれてよかったって思わない日はないよ」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「バートが生まれてきた時人生で最高のプレゼントをもらったと思った~毎日お前達が生まれてよかったって思わない日はないんだよ」になっています。
ここからは、大平さんはセリフの対象をより明確かつ自然に仕上げられる、演出家としの視点もお持ちということが分かるかと思います。
もちろん、父としての愛情あふれる優しい声の表現も必聴です。
・21:36 ホーマー喜びの舞
直前のフリのセリフに対してのオチとなるセリフの緩急の付け方、本当に職人技すぎます!
このように良質なコメディができるのは、やはり一流の大平さんだからこそです。
・おまけ:今回のワンポイント

The Simpsons/2in1マーカー:グリーン(BEAMS GOLF)
本エピソードの激安結婚式に登場するアイテムにかけて・・・
キャラクター部分はマグネットになっているので、取り外してゴルフキャップにつけてもおしゃれ!