シンプソンズ・ファンクラブ・ブログ

「ザ・シンプソンズ」を日本で広めるために日本語吹替版のエピソードガイド、グッズを買えるお店の紹介、大平透さん使用のアフレコ台本の研究、等々を掲載しています。

大平さんのシンプソンズ台本:シーズン3、第5話「ホーマー辞典:Homer Defined」

シーズン3、第5話「ホーマー辞典:Homer Defined」October 17, 1991

(日本初放送:1993年9月11日、録音日:1993年8月12日)
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日本ではシーズン3の第3話として放送されました。


<以下、ネタバレになります>


【画面】(台本上の通信欄)

・03:58 字幕「危険」

・06:18 男① 主なるイスラエルの神は ほむべきかな・・・

バーンズのセリフとかぶることから、こちらのセリフは画面欄に。

・07:28 ケント すでに故郷から逃亡する人の車の列がぎっしり・・・

今度はエイブじいちゃんのセリフとかぶることから、こちらのセリフは画面欄に。

・07:43 字幕「バカ」

・09:38 字幕「ラッキー」

・09:55 字幕「原発事故の恐怖を生きのびました」

・13:46 字幕「ペテン師」

・14:50 字幕「月間ベスト社員」

・21:35 字幕「ホーマーと並ぶバカにもかかわらず成功する事」


【音声】

・01:05 読んでいる新聞の内容がでっち上げだとリサに指摘されたホーマー

台本上は「いやこの国で本音で記事を書いているのはこの新聞だけだ」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「いやこの国で本音で記事を書いているのはこの新聞だけだになっています。
ホーマーの口パクに合わせるために語尾に「ぞ」を追加されたものかと思われます。

・03:38 社長と同じ映画を見ていたホーマー

大平さんの台本にある《ハナナラス》とのメモからもあるように、ホーマーが鼻を鳴らすシーンも大平さんが音を入れられています。

・04:20 アープーから「あーオットー…オットー バスに子供が1人乗ってるけど」と指摘されたオットー

台本上は「あー乗っけたままメキシコに行くところだったよ」とあるところ、最終的な音声ではオーットートーッ乗っけたままメキシコに行くところだったよ」になっています。
前のアープーのセリフでオットーを連呼していることから、そこに乗っかる形で安西正弘さん演じるオットーのセリフもアレンジされています。
吹き替えならではの遊び心、最高です!

・04:38 原発に異常を伝えるアナウンスの声
演じられているのはマージの一城みゆ希さん。
NHKで日本初上陸した宇宙船レッドドワーフ号』S3~5のホリー役を彷彿とさせます。

・06:50 はじめてマニュアルを読むホーマー
台本上は「電話帳より厚いじゃないか!」とあるところ、最終的な音声では「電話帳より厚いじゃない!」になっています。
1文字分の変更ですが、ホーマーの情けなさがとてもよく出ていると思います。

・08:10 あと1分のアナウンスを聞いたホーマー

台本上は「うるさい」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「うるヘエ(んだ!)になっています。
大平さんホーマーの「うるヘエ」は定番!

・08:42 コントロールパネル前でたじろぐホーマー

台本では原音同様に、アメリカの数え歌“One Potato, Two Potatoes”の引用になっており、「イモが1つ2つ3つ!いやいや待てよ 風船ガム 皿の上 いくつほしいか言ってみろ これでもない」なんですが、日本では馴染みがないものだと判断された大平さんが、現場で相談の上「コイツか これ あれ チガウチガウ 一体どれなんだ 誰がこんなにボタンを作ったんだ (ダメダコリャ)」に変更されたものと思われます。

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・09:15 あと15秒で運に身を委ねたホーマー

こちらも台本では原音同様に、アメリカの言葉遊び“Eeny, Meeny, Miny, Moe”(日本でいう「どれにしようかな」)の引用なのですが、例によって日本では馴染みがないので、大平さんによって手が加えられ「どっちにしようかな カミ様の云う通り コッチ チーッと」になっています。
最後には、“Moe”という言葉の雰囲気に寄せるために「チーッ」とあえて伸ばす発音をされているわけですね。
大平さんのセンス、演出力が光ります!

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・10:24 バーンズ「まだ“ガマの油売り”もやれるな」

原語版では“I can still sell them snake oil.”で、アメリカでも日本のガマの油売り」的な使われ方をしている言葉があるわけですね。
言葉遣いの雰囲気も日本版バーンズ社長の世界観にぴったりに感じます。

・10:33 ホーマーの評価がグンと上がったバーンズ
台本上は「どうやら我々はシンプソンを過小評価していたようだ 今月のベスト賞は奴にやろう」とあるところ、最終的な音声では「どうやら我々はシンプソンを過小評価していたようだ 今月のベスト賞は奴にやるとしよう」になっています。

・11:08 ミルハウスの「でもお前と遊んだら小遣いへらすって」に対するバートのセリフ
台本上は「俺がその2倍払ってやる」になっているところ、最終的な音声では前のセリフの語尾に合わせる形で「俺がその2倍払ってやるってになっています。
台本のセリフのままでもバートの口パクにぴったり収まりそうですが、あえてそこをギチギチに詰め込むことで2人の興奮した様が絶妙に表現されています。

・12:40 「ただラッキーなだけだったのに人からヒーローと誤解されたら…」と心配するホーマーに対するマジック・ジョンソンのセリフ

原語版では“Sooner of later, people like that are exposed as the frauds they are.(直訳:遅かれ早かれ、そういう人たちは詐欺師であることが暴露されるから)”とあるところ、吹き替え版では「バケの皮がはがれたらはがれたで大衆は喜ぶから」になっています。
原語版からセリフの方向性は変えずに、でも日本らしく、シンプソンズらしく、翻訳家の徐さんが紡ぎだされた日本語のセリフは魅力たっぷりです!

・13:54 リサにべた褒めされるホーマー
台本上は「ほめ言葉は会社でイヤというほど聞いた 家ではソッとしといてくれ!」とあるところ、最終的な音声では「ほめ言葉は会社でイヤというほど聞いた 家ではソッとしといてくれ!」になっています。
1文字分の追加で口パクにぴったりにしつつ、「よ」で少しやわらかい雰囲気に。

・14:22 リサにじっと見つめられるホーマー
台本上は「何やってるんだオイ」とあるところ、最終的な音声では「何やってるんだオイ」になっています。こちらでも13:54同様の効果が。
また、大平さんの演じ方のバリエーションで、ホーマーがソファの上でグダグダしている雰囲気がよく出ていますよね。

・14:54 社長の車に思いっきりドアパンチするホーマー

原語版では無音であることから台本にも何も記載のない部分ですが、大平さんのアイディアによりホーマーがドアを当てちゃったタイミングで「アラ?」との声が追加されています。
大平さんホーマーの様々な声色の「アラ?」、今後もぜひ注目して見てみてください!

・15:00 社長の車の横に駐車しているホーマーを見たスミサーズ
原語版ではゴニョゴニョ言っている部分のため、台本にも特にセリフの指示はなかったところに、最終的な音声では「あーシンプソン…まったく…」との目黒さんスミサーズの声が追加されています。

・16:42 マージを家の中に案内するミルママ・ルアン
台本上は「どうぞ上がって」とあるところ、最終的な音声では「どうぞ入って」になっています。
その後の一城さんマージのバートを想う優しいセリフの数々も必聴です。

・18:16 参考にならないバーニーのアドバイス
台本上は「俺も一度スピーチしたよ あがっちゃまずいから見てるやつ全員パンツ一丁でいるところを想像した…」とあるところ、最終的な音声では「俺も一度スピーチした_ あがっちゃまずいから見てるやつパンツ一丁でいるところを想像したんだになっています。
本当にお酒好きな広瀬さんだから出せる、絶妙な酔っ払い演技です。

・19:19 アリの演説
台本上は「諸君を鍛え直す為ゼウスの生まれ変わりを呼んだ よく見るがいい 栄光のホーマー・シンプソンを!」とあるところ、最終的な音声では「諸君を鍛え直す為ゼウスの生まれ変わりを呼んだ よく見ろ! 栄光のホーマー・シンプソンを!」になっています。
エイブじいちゃんの滝口順平さんが、外画でよく演じられていたタイプの恰幅が良く威勢も良いちょっと怪しげな役なので、こちらの役もとにかくピッタリです。

・19:56 再びアナウンスが流れる館内

14:54同様に原語版ではホーマーの声は入っておらず、台本にも特に指示がない部分ですが、大平さんの判断で「ハッ!」と驚く声が入れられています。
こちらも「演技の演は演出の演でもある」ということをずっと大切にされていた、演出家・大平さんの一面が垣間見られるシーンです。

・20:09 再び運に身を委ねるホーマー

台本には“Eeny, Meeny, Miny, Moe”の記載がありますが、09:15同様に大平さんが「どっちにしようかな…」に変えられています。

・20:25 ホーマーに言葉をかけるアリ
台本上には発電所を救ってくれて有難う 今の言葉あそびは何だ!」とあるところ、最終的な音声では発電所を救ってくれて有難う 今のおまじないは何だ!」になっています。
滝口さんが発する皮肉のセリフ(発電所を救ってくれて…)からの激怒のセリフへの緩急の付け方はまさに名人芸。

・20:32 アリにどのボタンを押したか分かっているかと問われたホーマー

台本上には「ええ モーです」(“Eeny, Meeny, Miny, Moe”の“Moe”)とありますが、前のセリフ変更に連動させるため、大平さんによって手が加えられ「ええ チーです」(「コッチー」の「チー」)になっています。
ここで09:15での大平さんのセリフ演出が活きてくるわけです!

・20:34 ケント・ブロックマンの皮肉たっぷりなニュース

こちらでも最終的な音声では「イニミニマイニーモー」「神様の言う通り」になっています。

・21:38 リサ「これでパパ 永遠に語りつがれるわね」

大平さんが演じられたホーマー、日本版シンプソンズの素晴らしさも永遠に語り継がれますよ!