シーズン2、第6話「シンプソン家VSフランダース家"Dead Putting Society"」November 15, 1990(日本初回放送:1992年12月5日、録音日:1992年11月12日)
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ゴルフの腕前がプロ顔負けだった大平さんが演じる、(パター)ゴルフネタ満載のエピソード!
<以下、ネタバレになります>
【画面】(台本上の通信欄)
・09:43 字幕「ミニチュアゴルフトーナメント」
・14:14 練習を重ねるバート
状況説明。
【音声】
・01:22 芝刈り中のホーマー。
原音でも踏ん張っている声を出しているホーマー、吹き替え版も大平さんホーマーらしく、大平さんが台本に「イッシイッシ」と書き込まれ、最終的な音声にも力強く反映されています。
また、その後の「こんなの子供の仕事だろが」にも手を加えられ、「こんなことァ子供の仕事だろが もう」に。
ほんの少しの言い回しまでこだわられているのが、とにかくよく分かりますね。
・03:20 まだ飲酒している設定があったフランダース家でビールを飲むホーマー。
このときにホーマーが出す音も、大平さんによって台本上にしっかりと書き込みが。
「ゲーップ」の部分、聞き比べてもらえるとお分かりになるかと思いますが、原音流用ではなく、しっかり吹き替えされています。細かい!!
・04:08 ケンカしながらもちゃっかりしてるホーマー
モードお手製のクラブサンドを拝借するシーンのセリフ、台本上は「一つもらってく」ですが、最終的な音声では「あっ、一つもらってく」になっています。
元々笑えるシーンですが、大平さんならではのテンポと間、声色でさらに笑えるシーンに!
・04:12~05:48までは台本のセリフが欠落しています。
現場で別紙を見ながら収録された模様。
・06:48 フランダースの愛する隣人との手紙を読んで…
大平さんホーマーの《笑う》=ヘヘ…の笑い声はやっぱり最高!
原語版に切り替えても、どっちか区別がつかない完成度です!!
また、以降の手紙を音読しながら爆笑する笑い声もそれはもう力強いこと。
笑い声にもいろいろとこだわられていたというお話をご本人から伺っていたので、こういうシーンで改めて納得します。
・07:24 フランダースの手紙がツボなバート。
原語版でのバートのセリフは“What a sap.(直訳:なんてこった)”なんですが、吹き替えでは「変人」になっています。
オリジナルのちょっとキツいセリフを吹き替えでマイルドにしているパターンは比較的多いですが、こちらは逆にオリジナルよりキツめなセリフに変更されています。
ホーマーに同調してフランダースをバカにするという、より子供らしいアレンジが施されたわけですね。
・07:39 心が通い合うアクティビティに誘うホーマー。
「…パターゴルフやりに行こうか?」の前に「みんなで」と書き加えられ、「みんなでパターゴルフやりに行こうか?」に。
ホーマーの口パクと合わせるための調整に追加されたものと思われます。
ちなみに、この後のチョコレートミルクシェイクのくだりは、「トレイシー・ウルマン・ショー」時代のホーマーのお決まりセリフを引用したもの。
・07:57 リサから算数コンテストの商品が分度器と聞いたホーマー。
原語版では、リサの“protractor(分度器)”を、ホーマーが“tractor(トラクター)”と勘違いして、“Too bad we don't live on a farm.(直訳:農場に住んでなくて残念だよ)”と返すというジョークなのですが、これは日本語化するとジョークとして成立しないため、吹き替え版ではリサの「分度器」に対して、ホーマーが「ふんどしだとー」と聞き間違えるジョークに変更されています。
このあたりの言葉のチョイスは、さすがの翻訳家・徐さんのセンスですし、大平さんもジョークとしてさらに盛り上げられるように、「ふんどし」のイントネーションをあえて「分度器」寄りにしたものにされています!
・09:32 トッドを褒めるフランダース。
台本上は「ナイスショットだ(ナイスショットは和製英語であるため、原語版ではグッドショット)」になっていますが、最終的な音声では「ナイスパット」に。
ゴルフのシングルプレイヤーの大平さんが映像からショットじゃなくてパットだろうと、手を加えられたものと想像します。
・10:13 一番になる自信がないバートに言葉をかけるホーマー。
台本上は「今回だけは言わせてもらうぞ “負けたらめしぬきだ”」とあるところ、ホーマーの口パクに合わせるため、大平さんによってセリフが追加され、最終的には「今回だけは言わせてもらうぞ いーかおい “負けたらめしぬきだ”」になっています。
・10:44 パターを投げ捨てるバートに激怒するホーマー。
台本上は「何て事するンだ!このパターは野球選手にとってのバットと同じ」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「何て事するンだ!このパターは野球選手にとってのバットと同じなんだぞ!」と、さらに説教感がアップ。
以降の、パターに名前を付けるくだりのテンポも最高です!
・11:48 マージにどうしてここまでゴルフトーナメントに入れ込むか問われたホーマー。
台本上は「だってフランダースにアワふかせるいいチャンスだろ」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「だってフランダースにひとアワふかせるいいチャンスだろうが」になっています。
細部までこだわられているのがよく分かる変更ですね。
・12:40 バートに図書館を案内するリサ。
台本上は「見てバート これが書名目録←テーマ別(原語版では、“card catalogue”)」とあるところ、最終的な音声では、「見てバート これがテーマ別目録」になっています。
一つのセリフをとっても、それに至るまでに様々な工夫が施されているのが伝わってきますね。
・14:46 フランダースに対して嫌味を言うホーマー。
台本上は「ハハ 弱いヤツに限ってそういう事言うんだ」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「ハハ 弱いヤツに限ってそういう事言うんだようだ(発音としては“よ~だっ!”)」と、さらに嫌味っぽく!
ここも、セリフの追加によってホーマーの口パクにセリフがぴったりハマっています。
・15:08 挑発に乗ってきたフランダースにさらに追い打ちをかけるホーマー。
台本上は「《 》本気で賭けるのが怖いのか?」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「《ホー》本気で賭けるのが怖いんだろうが え?」になっています。
・16:14 バートにどうしても勝ってほしいホーマー。
台本上は「パパはただ、頑張ってほしいと思って」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「パパはただ、お前に頑張ってほしいと思ってその」に変更されています。
・17:35 バートにオートミールを食べさせようとするリサに意見するホーマー。
台本上は「でもバートは馬じゃない」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、最終的な音声では「でもバートは馬じゃないの」に。
たった1字の追加ですが、大平さんならではの抑揚の付け方でホーマーっぽさがここまで出るかと驚きます。
・17:50 ゴルフトーナメントのアナウンサー。
スミサーズ役の目黒光祐さんがやられているこちらのアナウンサー、台本上には「インギンな英国風な感じで…」というハイグレードな指示が!
それを意識してセリフを聞いてみると、確かに!!という感じ。さすがです。
・19:08 バートをハラハラしながら見守るホーマー。
ホーマーの叫び声や息遣い等、大平さんが原語版のダン・カステラネタ氏の声を聴きながら、台本上にメモを取りながら吹き込まれています。
こういう台本に指定のない音の入れ方も、とても魅力的です。
・20:56 アナウンサーからのまさかの宣言を耳にした観客たち。
ホーマーの口が動いているものの、原語版では無音になっているところに、大平さんが独自にホーマーの声で「え?あの」と吹き込まれています。
VTR、台本チェック時に、それに気づかれた大平さんが追加されたものと思われます。
ここまでこだわってくれていることが分かると、視聴者もさらにうれしくなりますね。
・22:07 何かに目覚めたフランダースを見たホーマー。
台本上には「《 》あいつ楽しんでるよ(原語版:D'oh! Oh, my god! He's enjoying it.)」とあるところ、大平さんによって手が加えられ、「《ドーッ》あいつ楽しんでるよアホか!」になっています。
こちらも、口パク調整としてと、オチのセリフとして強めな言葉をと考えられてか、「アホか!」が挿入されています。お見事です!!
おまけ:以前、大平さんから、シンプソンズの収録の空き時間に共演者の方の似顔絵を台本に描いて皆に見せたことがある、とのお話を伺っていましたが、どうやらこの回だったようです。
スタジオでいつも隣に座っていたマージの一城さんの横顔。
今回もコンビでセリフの応酬をしまくっているバートの堀さん。角度的に台本を確認されているところ?片耳にはレシーバーも。
こういうところからも、厳しいだけでなく遊び心溢れた大平さんがとてもよく表れていますし、家族を見守るパパ感から本当にファミリーのようでやっぱり素敵です!