シーズン3、第4話「マフィアのバート"Bart the Murderer"」October 10, 1991
(日本初放送:1993年9月11日、録音日:1993年7月15日)
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WOWOWではシーズン3の第2話として放送されました。
<以下、ネタバレになります>
【画面】(台本上の通信欄)
・01:58 バス出る
状況説明
・02:16 学校
状況説明
・02:31 《ガヤ》そっちいくぞ 落とすなよ よーし
休み時間に遊ぶ子供たちのガヤの声はこちらの画面欄に。
・03:06 多分#8にでてきた
ラルフのこと。シリーズものって、やはりチームでやってるからこそこういったことにちゃんと気づけますし、キャスティングにも一貫性を持たせられますね。
・05:39 字幕「ビジネスマン 社交クラブ」
・07:27 店でバイトするバート
状況説明
・07:52 クラブ
状況説明
・12:14 原音 帽子をチェックする娘
原語版ではセキュリティのスタッフとして「帽子をチェックする娘」としてリサを紹介するホーマーですが、吹き替え版ではクローク(=荷物番)としてリサを紹介するホーマー。
カジノには馴染みない日本の視聴者のためにちょっとアレンジしたものと思われます。
・12:27 ミルハウス ルイス リチャード
落書きしている少年たちのガヤの指示
・12:35 字幕「校長先生を買収しません」
・14:25 字幕「校長失踪」
・14:40 字幕「私の死体見なかった?」
・14:55 字幕「スキナー探しに霊能者」
・15:13 字幕「シーモアスキナー 記念消火ホース」
・16:13 字幕「死の家」(アウト可)
アウト可は、画面上の文字表示時間がちょっと少ないから、画面に文字が出ていないタイミングで日本語字幕を出してよいですよとの指示
・17:34 字幕「校長殺しの裁判始まる」
・17:47 法廷
状況説明
・18:31 字幕「今日小さなドンに判決」
・19:41 原音 デルタバーグとダッド大佐の霊がいるところかも
吹き替え版では「ミミ・ロジャーズとトム・クルーズの生霊が見える・・・」となっている部分。
それに対応して、ウィガム署長のセリフも“But they seemed so happy.(でも彼らは幸せそうだった)”から、吹き替え版では「円満離婚だったんでしょ?」(台本の段階では「ニコニコ離婚だったんでしょ?」)になっています。
日本の視聴者ファーストな作りなのが、WOWOWの日本版シンプソンズの特徴!ホスピタリティが高いのなんのって!
・20:26 原音 記録から削除してください
レイモンド・バー氏主演『弁護士ペリー・メイスン』のパロディキャラのセリフで「異議あり!スキナー校長の発言には何の根拠もありません!」とある部分。
セリフの繋がり上、より自然なセリフをと考えられ、アレンジされたものと思われます。
【音声】
・01:18 クラスティ印のシリアスで朝食のバート
台本上は「プラス暗闇で光る蛍光警察バッジもあるし」とあるところ、最終的な音声では「プラス暗闇で光るピカピカ警察バッジもあるし」になっています。
よりシリアルのおまけのおもちゃ感がアップする名称に!
・03:53 今回のトロイ
過去の出演作“The Revenge of Abe Lincoln”は『リンカーンの復讐』に、“The Wackiest Covered Wagon in the West”は『西部の無法馬車』になっています。
・05:05 舌にダメージでまくりのバート
台本のセリフ指示(帰っていいですか?(ねばって))にもあるように、堀さんが封入マシンと化した満身創痍のバートの喋りを表現されています。
・05:44 ファット・トニー初登場
『ゴッドファーザーPART III』や『バグジー』等のマフィア・ギャング役でお馴染みのジョー・マンテーニャ氏を吹き替え版でそっくりに演じられているのは、津田英三さん。
『スター・ウォーズ』シリーズのウェッジ役等の外画作品はもちろん、『心が叫びたがってるんだ。』やネトフリ『PLUTO』等の国産アニメ作品でも幅広くご活躍です。
・06:05 バートの決め台詞
“Eat my shorts”は既に「パンツでもかぶってろ!」で定着していましたが、初期の関連グッズ(Tシャツ)等でもお馴染みであったバートのもう1つの決め台詞“Don't have a cow”がここでは「バカでねーの」として登場!
馬の名前としてもおかしくなさそうな語感のものを熟考された結果生まれたセリフと思われます。
・06:34 ファット・トニーからカクテルを作れるか尋ねられたバート
台本上は「分かンない」とあるところ、最終的な音声では「わかンないよ」になっています。
丁々発止のやりとりのため早口にすると若干口パクに足りないことから1文字分足したものと思われます。
この「よ」に、堀さんバートの悪ガキ感が凝縮されていますね!
・08:49 大量のたばこを発見するホーマー
大平さんホーマーののんきな鼻歌は本当に味わい深いですね!
・09:18 バートに謝罪するホーマー
台本上にある「疑ったパパが悪かった」というセリフ、大平さんの書き込みから分かるように、疑ったを「ウタガッタ」ではなく、あえてちょっと俗っぽい「ウタグッタ」と読まれています。
大平さんがとにかく細かい部分にまでこだわられていることがよく分かる1シーン。
・10:44 話しまくってバートを混乱させようとするファット・トニー
台本上にもしっかりと(バートを混乱させている)との注釈があります。
・10:59 フランク・シナトラの“Witchcraft”を歌うバート
堀さんバートの歌声は絶品!
・11:24 正論風のことを言うホーマー
原語版だと“If my plant pollutes the water and poisons the town, by your logic, that would make me a criminal.(直訳:もし俺の会社が水を汚染し、町を汚染したら、お前の論理では俺は犯罪者になる。)”とあるところ、翻訳家の徐さんの手にかかると「俺の会社だって廃棄物をたれ流して町を汚染したらどうなる?お前の論理でいくと俺も犯罪者だぞ」になります。
原語版に忠実に、だけど日本語の会話として自然に、日本版シンプソンズのセリフが紡がれていきます。
・12:22 ファット・トニーの店がどうだったかとマージに尋ねられるホーマー
原語版だと“The only thing going on down there was a lot of male donding.(直訳:あそこで行われていたのは、たくさんの男たちのバカ騒ぎだけだ。)”とあるところ、翻訳家の徐さんの手にかかると「野郎ばっかり集まる色気もそっ気もない店だよ」になります。
徐さんのブラックかつスマートな翻訳に、大平さんのセリフ回しが合わさって、日本版シンプソンズの世界観が出来上がっているのがよく分かります。
・12:56 ファット・トニーからマンハッタンを作るよう命じられたルーイ
原語版では“But I only know how to make wine spritzers.”で、台本上にもそれに忠実に「俺ができるのはワインベースのカクテルぐらいで」とありますが、最終的な音声では「俺ができるのはワインを開けるぐらい」になっています。
ルーイのポンコツ具合をより表現するためにアレンジされたようです。
・13:22 キスされるファット・トニー
原語版では“The kiss of death.(死のキス)”とあるところ、徐さんの翻訳では「死神のキス」に。(台本上にもその旨注釈があります)
ギャングの世界観に合わせた翻訳で痺れます。
・14:46 会見するウィガム署長
台本上は「静かに!警察も手をこまねいているわけではありません 最先端の科学技術を取りいれるつもりです」とあるところ、最終的な音声では「静かに!警察も手をこまねいているわけではありません 最先端の科学技術を取りいれます」になっています。
・21:37 バート・シンプソン・ストーリーのモデル料がもらえないと聞いたホーマー
台本上は「あー本当の悪党はこいつらだ ハリウッドのドケチプロデューサー」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「あー本当の悪党はこいつらだ ハリウッドのドケチプロデューサーめ!」になっています。
大平さんは『笑ゥせぇるすまん』でラストの喪黒福造のオチの語りにこだわられていたことと同様に、こちらでもオチのセリフにもしっかり気を遣われ、語気強めで切れ味の良いセリフに仕上げられています。
・おまけ
今回の台本には、日本語版制作会社の担当者の方が大平さんに贈られたメッセージカードが挟まっていました。
シーズン3、4の台本が出来上がってきたことにワクワクされている様子、そして声の出演者の方々に対するリスペクトが詰まったものでした。
日本版シンプソンズが大きな愛を注がれて制作されていたことをこういったところからも感じることができて、幸せな気持ちになりました。