シンプソンズ・ファンクラブ・ブログ

「ザ・シンプソンズ」を日本で広めるために日本語吹替版のエピソードガイド、グッズを買えるお店の紹介、大平透さん使用のアフレコ台本の研究、等々を掲載しています。

大平さんのシンプソンズ台本:シーズン3、第6話「クラスティの涙"Like Father, Like Clown"」

シーズン3、第6話「クラスティの涙"Like Father, Like Clown"」October 24, 1991

(日本初放送:1993年9月18日、録音日:1993年8月15日)
simpsons333.hatenablog.com
日本ではシーズン3の第4話として放送されました。


<以下、ネタバレになります>


【画面】(台本上の通信欄)

・11:38 字幕「現代ユダヤのお父さん」

・13:37 字幕「神様とおしゃべり」

・13:48 字幕「スプリングフィールドベツレヘム寺院」(アウト可)

・17:30 字幕「図書館」


【音声】

・01:11 ショーのみんなで番組のエンディングをお送り中のクラスティ

ショーのメンバーの名前が、原語版では“Corporal Punishment(=体罰)”となっているところ、翻訳家の徐さんの手にかかると「おしおき伍長」になっちゃうんだからさすがです!
キャラデザインから兵士の服装をしているため、「伍長」をオリジナルで付け足されたものと思われますが、こういうところでもセンスが輝きますね。

・01:18 とんでもない歌詞のエンディング曲

島田さんクラスティの歌声は必聴!

・03:07 ミルハウスに自慢げに電話しているバート
台本上「クラスティのサイン何枚ほしいの言ってみ」とあるところ、最終的な音声では「クラスティのサイン何枚ほしいの言ってみなよに、またその後の「任せとき」「任せとけってになっています。
バートの口パクに合わせるために追加されつつ、バートのやんちゃさもよりよく出ていますね。

・03:12 "This Could Be the Start of Something"を歌うバート

台本上「通りを歩いているかパーティーでのってるか それとも一人ひらめいたかディングディングディング きっとでかい事が始まる…」とあるところ、最終的な音声では「気分はどうだいノッているかいパーティ ひらめきが来た来たディングディングディング でっかいことがほら始まるよ…」になっています。
歌詞をよりメロディにはめ込むため、現場でアレンジされたものと思われます。
プロ歌手でもある堀さんの歌声と相まってより最高な吹き替えソングに仕上がっていますね。

www.youtube.com

・03:42 クラスティに向けた手紙を書くバート
台本上「人生に重要な事なんてないっていうけど 本当だったみたいだね」とあるところ、最終的な音声では「人生はくだらないってみんな言うけど 本当に最悪だよなあになっています。
台本では原語版に忠実になっていたところですが、あえて少しアレンジしたセリフに変更になっています。
堀さんのお芝居と合わさることで、バートの悲しさがとてもよく出ているセリフになっていると思います。

・03:53 電話しているクラスティ
台本上「ピンク電話(原語版では“sex-chat”)」とあるところ、最終的な電話では「セクシーダイアル」になっています。

・開始後05:13でホーマー初のセリフ

・07:40 クラスティの父、初登場

原語版で声を担当したのは、本エピソードでエミー賞を受賞したユダヤジョークが売りのスタンダップコメディアンジャッキー・メイソン氏
メイソン氏は自身も若いころラビであった経歴があり、父親もラビというクラスティ同様敬虔なラビの家庭で育ちました。
吹き替え版では、シンプソンズにも複数出演された大ベテランの石森達幸さんが担当されています。
石森さんは、ホーマーの大平さんらとともに、声優の地位向上の活動にご尽力されたお1人でもあります。

・07:49 ラビに質問する男

原語版及び台本上クライスラーを買うべきで?」とあるところ、最終的な音声では新車を買うべきで?」になっています。
初期のエピソードでは吹き替え時に企業名、製品名は伏せられることが多かったようです。

・08:44 クラスティの昔話に心打たれたホーマー

シーンに合わせたセリフにするため、大平さんが台本に「ゆっくり」とメモされています。

・09:06 ネタの練習をしているクラスティを見つけるクラスティ父

台本上は原語版に忠実に「オイ ゲバルト!(ユダヤ語)」とあるところ、最終的な音声では「オイ なにをしている!」になっています。
視聴者が理解しさすいようにアレンジされたものと思われます。

・09:53 クラスティに気づいてしまったクラスティ父
こちらでも台本上は原語版に忠実に「オイベイズミア」とあるところ、最終的な音声では「なんてことだ」になっています。
本エピソードでは原語版でイーディッシュ語(ユダヤ語)になっていた部分まで、ちゃんと日本語化するように統一されたようです。

・11:03 ミルハウスを送っていくようマージにお願いされるホーマー

台本上「もちろん」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「ああいいとも」になっています。
ホーマーの口パクにより合わせるために大平さんがアレンジされたものと思われます。

・14:12 第3幕(R-3)、ホーマーは登場なし

・15:47 クラスティ父の「最高の慈善は与える事です 人に知られる事なく」という発言に対するラビ3のセリフ

台本上「でも人には与えよと言う それは矛盾ではないですか(原語版:“But waht if your example encourages others to give?”)」とあるところ、最終的な音声では「でも人を導くなら人に模範を示さねばになっています。
どちらのセリフも原語版から大きく意味は変えずに、より日本語として伝わりやすいよう工夫されていることがよく伝わってきます。

・16:05 ある作戦を思いついたリサ
台本上「こうなったら裏ワザしかないかも」とあるところ、最終的な音声では「こうなったら奥の手しかないになっています。

・20:33 クラスティに会いに来たクラスティ父
台本上は「ボイチク!」とあるところ、最終的な音声では息子よ!」になっています。
09:06および09:53と同様の変更。

・21:06 "Oh, My Papa"を歌うクラスティ

台本上「オーマイパパ 僕にとって最高のパパ オーマイパパ ほら歌って 僕にとって理想のパパ 知ってるだろ 誰もパパのように 優しく愛してくれないよ オーマイパパ いつもよき 理解者~」とあるところ、最終的な音声では「オーマイパパ 僕には最高のパパ オーマイパパ ほら歌って 僕には理想のパパ 知ってるだろ 誰もパパのように 優しく愛してくれない_ オーマイパパ いつもよき 理解者~」に。
優しさ溢れるクラスティの島田さん、クラスティ父の石森さんの温かい歌声が心に響きます。

www.youtube.com

・おまけ:今回のワンポイント

LEGO Minifigures 71005: The Simpsons Series1 より クラスティ・ザ・クラウン