シンプソンズ・ファンクラブ・ブログ

「ザ・シンプソンズ」を日本で広め、ファンのつながりを作るためにグッズを買えるお店の紹介やエピソードガイド、吹替キャストのみなさんとのイベントレポート等々を掲載しています。

ディズニー社による吹き替え版シンプソンズについての意見と要望

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まず、7月9日の「ねとらぼ」さんによる報道を受け、ディズニーさんがコロナ禍によるパークの休止や劇場作品の公開中止などで、以前より厳しい状況である中、日本国内でシンプソンズを展開しようとしていただいていることについて、心から感謝します。
nlab.itmedia.co.jp
しかし、それ以上に、吹き替えキャストの総入れ替えが行われようとしていることに、ショックを受けております。これは、決して新キャストの方に対するバッシングというわけではなく、その行為、決定に対するものです。
ここからは、ファンクラブとして、ディズニーさんが今後のシリーズを声優総入れ替えで進める意向であると仮定し、意見を書かせていただきます。
なお、決して日本のファンを代表しようなんておこがましいことは思っておらず、あくまで当団体の意見として公表するものであります。



近年の外画の吹き替え版に係る制作費が以前より厳しいことは、重々承知しています。
作品を作り続けるため、ある程度のキャスト入れ替えは仕方がないものだとは思いますし、実際そうして続けられている作品が存在しているのも事実です。「サザエさん」や「ちびまる子ちゃん」、「クレヨンしんちゃん」等の長期シリーズの作品がまさにそれで、基本キャストは変えず、状況によってキャストが新陳代謝をしています。
一方、キャスト総入れ替えでも、時間の経過により世の中に受け入れられている作品もあります。代表的な例としては「ドラえもん」が挙げられますが、今回のシンプソンズの件とは大きく異なります。
なぜ、シンプソンズと違うのか。それは「ドラえもん」が地上波のアニメ番組だからです。よって、偶然チャンネルを合わせる人がいたり、それまでの「ドラえもん」を知らない世代は自然に受け入れてきたのです。
しかし、これからのシンプソンズは、見たい人だけが入る有料の配信サイトディズニープラスの番組になります。
テレビやスマホの画面で見る番組は、何百何千のコンテンツの中から自分で好きに選べるわけで、そのときに選ぶのは、間違いなく加入者のお気に入り番組です。
つまり、動画配信サイトの番組になる以上、視聴者の基礎となる既存のファンを失ってはいけないのです。


大幅な入れ替えがあった作品、例えば「ルパン三世」の次元役:小林清志さん、「天才バカボン」のママ役:増山江威子さん、「ゲゲゲの鬼太郎」の目玉おやじ役:田の中勇さんといった例でも分かるように、一部旧キャストを残し、作品の世界観、アフレコ現場の空気感を維持することで、ファンから受け入れられた作品がたくさん存在しています。
地上波のアニメ作品とシンプソンズのような外画作品ではそもそもの制作費が違うよ、というのであれば、ディズニープラスと同形式の動画配信サイト:Netflixの「サウスパーク」がいい例でしょう。奇しくもシンプソンズと同じくWOWOWで日本デビューをした作品ですが、こちらもメインキャラであるカートマン役のLiLiCoさんがWOWOW版から続いて参加されており、旧作と新作の架け橋となっているのです。


ホーマー役の大平透さんもよく言われていましたが、声のお仕事をされている方々は、ただ単に映像に声をアテるだけではなく、お芝居という名の演出をしながら、作品に出演されています。(曰く、「俺たちは言葉を入れてるんじゃないんだ。魂を入れてるんだよ。」、よく番組共演者にお話しされていたそうで、シンプソンズのキャストの皆さんにもこれは継承されています。)
声が全て変わるということは即ち、作品の演出、空気感までガラッと変わり、せっかく築き上げてきた作品の財産をすべて捨ててしまうという非常に勿体ない行為をしていることになります。
しかも、シンプソンズに関しては、その積み重ねが14シーズン分もあるのです。
リメイクやリブート作品ではなく、既に収録済みのシーズンと地続きとなっているお話から、急に声が総入れ替えになるなんてことは、収録に参加できる既存のキャストがいる以上、考えられません。
また、それは同時に、総入れ替えされた新キャストの方の立場からすると、シーズン14までのお約束ネタや、なぜそのキャラがそのセリフを発しているのか、といった演技を構成する上で必要な情報が、自分自身にも共演者にも全くない状態で収録に臨まなくてはならないという、非常に酷な収録現場であることを意味します。


次に、作品を世に出したことによって得られる利益面について。
ザ・シンプソンズ MOVIE」では、全国ロードショーとは思えないほどの公開劇場の少なさと興行収入の少なさで、映画ビジネスとしては大失敗に終わっています。
これは、当時の日本での吹き替え版の放送事情をよく知らない本国側の指示により、日本の配給会社がテレビタレントに声優変更を行い、従来のファンを切り捨て、一夜漬け的に新規ファンを狙ったことによるものです。
字幕派の人でもシンプソンズだけは吹き替え版で見るという人が非常に多いシンプソンズにあっては当然の結果とも言えます。

今回のディズニーさんによるプロ声優キャスティングを、声優を本職としないタレントがメインキャラの声を担当した劇場版と比較するのは申し訳ありませんが、過去のファンを切り捨て、従来通りの人気を求めようとしている無謀さ、組織としての決定に対しては、少々近しいものを感じているのも事実です。

また、ファミリーの声優さんである、マージ役(※ロキではセリフがないため、変更されるのか現時点では不明です)の一城みゆ希さん(「名探偵コナン」ジョディ・スターリング役、「ぶらり途中下車の旅」副音声ナレーション、その他多数の外画作品)、リサ役の神代知衣さん(「きかんしゃトーマス」パーシー役、「パズドラ」徳澤諭吉役、等)、バート役の堀絢子さん(インド版「忍者ハットリくん」ハットリカンゾウ役、「ざわざわ森のがんこちゃん」ピロくん役、等)は、みなさん現役バリバリでご活躍ですし、取材記事内にもあるように、ただの「吹き替え版シンプソンズ」ではなく、日本のファンのための「日本版シンプソンズ」を作ってきたプライドと愛を持たれた上で、新シーズンへの出演をずっと心待ちにされていました。それは、同記事内の出演料に関する思いを語られている部分、ファンクラブ主催のファンイベントに無償でご参加されたこと等からも、よく伝わるかと思います。

長期シリーズに世代交代はつきものですが、上記のような現状がある以上、少なくとも今それをするタイミングではないと考えます。


ファンクラブのメンバーはもちろんですが、今までファン感謝祭でお会いしてきた1,000人を超えるファンの方々の中には、既にDVDを持っているのにも関わらず、シンプソンズのためにディズニープラスに加入している人が多いのです。
それはなぜか?字幕派だったり、その他多様な楽しみ方をされているファンが存在することも承知の上で申し上げますが、
シーズン15以降の吹き替え版の配信に期待しているからなのです。
そこで、キャストが総入れ替えされたらファン心理としてはどうでしょうか。
継続してディズニープラスに加入し続ける必要性が果たしてあるのか、と考えるのが自然でしょう。
つまり、せっかく予算を投入して、手間暇をかけて吹き替え版を制作するのに、結果として、我々がお会いしてきたようなファンの視聴者層がごっそり減ってしまうのではないか、得られるはずだった利益を逃してしまうのではないか、と心配しています。
(この部分、勘違いしていただきたくないのは、新キャストの方どうこうではなく、一定数存在するファンを完全に切り捨てるような決定が、最終的に加入者数に影響することを危惧しているものです。)

それまで、視聴ハードルが高かったシンプソンズを、気軽に観られるための素敵な環境を作ってくださり、さらにこれから新たなシンプソンズの歴史を作っていただけるかもしれないディズニーさんに、そんな思いをしていただきたくないのです。

ディズニーさん、従来のTV版キャスト、新キャスト、吹き替え版が好きなファン、字幕版が好きなファン、皆が幸せになる方法があるのではないでしょうか。


以上のことから、ここ14年近く、日本国内で最もシンプソンズについて考えてきた団体であると自負するシンプソンズファンクラブ一同、


吹き替えキャストの総入れ替えに反対すると同時に、シーズン15以降のシーズンにもシーズン14までのキャストから継続して出演するキャストが出るよう要望します。


ディズニー様におかれましては、今一度賢明なご判断をしていただけることに期待します。

2021年7月11日 シンプソンズファンクラブ