シンプソンズ・ファンクラブ・ブログ

「ザ・シンプソンズ」を日本で広めるために日本語吹替版のエピソードガイド、グッズを買えるお店の紹介、大平透さん使用のアフレコ台本の研究、等々を掲載しています。

シーズン13:第20話「リサ、憧れの大学生活 "Little Girl in the Big Ten"」May 12, 2002

シーズン13:第20話「リサ、憧れの大学生活 "Little Girl in the Big Ten"」May 12, 2002

体育の授業で、あわや赤点をとりそうになったリサ。彼女の成績が落ちると困った立場に追い込まれるスキナー校長の苦肉の策により、東欧人の体操教師のジムに通う見返りに、単位を何とかしてもらえるコトに。リサは、同じくそこでレッスンを受けている女の子たちと仲良くなるも、実はその子たちは…
<以下ネタばれになります>
<チェックポイント>
・真昼間から酔っぱらい大暴れのホーマー。いつもは眉をひそめるリサだが、今回に限ってはそれに助けられる。

・成績表に赤ペンでマイナス表記を記入しようとしたところをスキナーに止められると、大仰に見得を切って抗議する体育教師が口にする“ジーナ”とは、古代世界を舞台に屈強な女戦士が大活躍する国内未放映のTVシリーズ"Xena:Warrior Princess"の主人公のコト。


なお、ジーナを演ずるルーシー・ローレスは、シーズン11「ハロウィーンスペシャルX 戦慄の序曲 "Treehouse of Horror X"」に本人役でゲスト出演しています。

・ジムで転んで頭を打ち失神したリサは、夢の中でジョン・F・ケネディ大統領の幽霊と出会う。どこか様子のおかしいJFK。その理由は衝撃的!

・その頃バートとエイブは、クラスティバーガーでオマケ目当ての食事をしていた。エイブのノスタルジックミールのオマケのひとつとしてフィギュアが登場するリベラーチェとは、ド派手な衣装などでも知られる、往年の人気エンタータイナー。


死後もラスベガスに立派な博物館が建てられるなど、未だ衰えぬ人気の高さが偲ばれます。

・バートの分のオマケは、クラスティザウルスなるゾンザイな代物。しかも、中に閉じ込められていた蚊に刺され、伝染病にかかってしまうバート。

ここで、中国奥地にあるクラスティバーガーの工場で、オマケに蚊が入ってしまう経緯が描かれます。労働者たちの前に掲げられたクラスティの巨大な壁画と演説は、ジョージ・オーウェルのディスとピア小説『1984年』に登場するビッグブラザー風。

一九八四年〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

一九八四年〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫)

何度か映像化されているビッグブラザーですが、一番有名なのは原作のタイトルと同じ1984年に放映された、リドリースコット監督に手になるアップルのCMでしょう。

また、この工場のシーンには、パフォーマンスアーティストのバンクシーが昨年に手がけた、このオープニングが重なる。

そういえば、バンクシードキュメンタリー映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ "Exit Through the Gift Shop"』が、もうじき国内でも公開されますね。

渋谷パルコ近くの“公式”グラフティ。

・厳しい練習を終えてロッカールームで着替えるリサは、自分と同い年くらい見かけにも関らず、小学校のクラスメイトたちとは段違いに頭の良さそうなふたりの女の子と意気投合。

黒髪の子(アジア系?)が読んでいた『重力の虹"Gravity's Rainbow"』とは、現代アメリカ文学の巨匠トマス・ピンチョンの作品。難解で知られる作風の持ち主にも関らず、シーズン16「マージの料理コンテスト"All's Fair in Oven War"」などに本人役でゲスト出演していたりします。

ピンチョンは公衆の面前には決して姿を現さない“覆面作家”で、頭に紙袋をかぶったキャラクター描写や背後の看板などは、それを前提としたギャグなわけです。

・“小柄な女子大生”だったふたりに、車で家まで送ってもらうリサ。自分も同じ大学生と信じ込ませたお陰で、去り際にロバート・ペンスキーの朗読会へ誘ってもらう。

詩人のロバート・ペンスキーは、1997年から2000年にかけて合衆国議会図書館が選定する“桂冠詩人”に認定されていました。これは、ギリシァ・ローマ時代の誌のコンテストにおいて、優勝者に月桂冠が授けられていた史実を元とした呼称の様です。

・やや前後しますが、リサに置いてきぼりにされたラルフのX間が…

・さて、病院に運び込まれたバートは、珍しい“パンダウイルス”の保菌者として透明なプラスチック製のボールに隔離されてしまいます。

最初は途方にくれていたものの、やがてその優位性に気が付き、ネルソンらいじめっ子をやっつける正義のヒーロー“バブルマン”となるバート。

このあたりの展開は、『サタデー・ナイト・フィーバー』でのブレイク以前のジョン・トラボルタが主演したTVムービー『プラスチックの中の青春』がベースになっています。

・小学校が終わると、せいいっぱいオトナっぽく変装して、スプリングフィールド大学へと急ぐリサ。

変装シーンに流れるは、ピーター・セラーズが演ずるクルーゾー警部が主役のコメディ映画のタイトルバックとして誕生した後に、独立したアニメシリーズとなった『ピンクパンサー』のテーマ。

本来のピンクパンサーとは、このシリーズ第一作『ピンクの豹』のオープニングに登場する巨大ダイヤモンドのコトです。
・大学では「イッチー&スクラッチー」を教材とした人類学の授業中。

クラッチーを原料(ヒドイ!)としたバターのパッケージにご注目!

これは、"I Can't Believe It's Not Butter!"なる実在の商品のパロディなのです。

商品名のみならず、実際に流されたハーレクインロマンス調のCMも笑わせてくれます。


・こっそり後をつけてきたミルハウスらのせいで、仮面女子大生の化けの皮がはがれてしまうリサ。

そのでせいで、大学はもちろん小学校でも誰にも相手にされなくなってしまった彼女に、バートが救いの手を差し伸べる。

・復活の舞台は、長年の勤務の見返りとして、スキナー校長に専用駐車スペースが与えられるのを祝する式典。なお、駐車スペースを示すプレートによると、スキナーはすでに故人らしい。

・さて、バートとリサの企てとは? そして、その結果は!?

蛇足ではありますが、元ネタはこの映画のラストシーンです。

役職 お名前
翻訳 徐賀世子
演出 向山宏志
調整 安倍康幸
制作 ブロードメディア・スタジオ株式会社
役名 お名前
ホーマー 大平透
マージ 一城みゆ希
バート 堀絢子
リサ 神代知衣
体育教師 さとうあい
ミルハウス,観客,スクラッチ 飛田展男
ウィリー,ケネディ,ロバート・ピンスキー,大学生 目黒光祐
スキナー,ヒバート,パッケージの牛 青森伸
ガッシュ,司会者,カール 辻親八
生徒,ウェンデル,ジェイニー 安藤ありさ
エイブ 滝口順平
リベラーチェのフィギュア,観客,ドニー,大学生 伊藤栄次
クラスティ,観客,データベース 島田敏
ティナ,ラルフ 真柴摩利
キャリー,マーティン 安達忍
ネルソン,観客,カーニー 桜井敏治
ハチ男,チェック係,教授 広瀬正志
モグラ男,レニー,教育長 朝戸鉄也
アグネス 鈴木れい子