シンプソンズにも出演された、あるベテラン声優の方がおっしゃっていました。
一城さんが演じる役には、一城さんのお人柄が染み出ている。だから、マージだってあんなに魅力的だし、(セルマやディズニー作品のクルエラといった)ちょっと嫌味な役にもどこか愛すべきポイントが生まれて、魅力的な日本語をしゃべるキャラクターになるの、と。
そんな素敵な一城さんが突然旅立たれてしまったこと、いまだに信じられません。
たくさんの方々に元気を与え続けられた一城みゆ希さん、関わったそれぞれの方にそれぞれの素敵な思い出があると思います。
業界の後輩の方にとっても優しく見守ってくださるお母さんのような存在であったと聞いておりますが、それは我々にとっても同様でした。
そこで本ブログでは、一城さんに感謝を込め、我々しか知らない一城さんとの思い出を書かせていただきます。
一城みゆ希さんと我々のお付き合いの始まりは15年前の「第1回シンプソンズファン感謝祭」(2008年5月4日)にまで遡りますが、そもそもなぜこのイベントが行われたのか、ということからご存知でない方のためにご説明いたします。
2007年8月、それまで日本国内で15年に渡りお馴染みの声優陣で定着していたシンプソンズの初の劇場用作品「ザ・シンプソンズ MOVIE」において、シンプソン一家の声優にテレビの芸能人が起用されることが発表され、シンプソンズFCの前身である「映画版「ザ・シンプソンズ」声優変更を考える会」がネット署名を開始、全国のファンからTV版オリジナルキャストの吹き替え版を求める声が殺到し、最終的にDVD、Blu-ray用にTV版オリジナルキャストによる吹き替え版が特別収録されたものですが、この吹き替え版制作決定に至るまでには、大平さんはもちろんのこと、実は一城さんのご尽力がとても大きかったことは世の中に知られていません。
ご本人が大平さんだけでなくファンのことも立ててくださるので、我々も言ってきておりませんでしたが、一城さんの情熱がなかったら違う結末になっていた可能性も高いのです。
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そんな一城さんにとっても悲願の「ザ・シンプソンズ MOVIE」のTV版オリジナル声優陣での吹き替え版が制作された記念に、ホーマー役:大平透さんとファン有志が主催となり開催されたのが本イベント。
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ご友人の手作りのマージウィッグにマージのチューブトップと同じ色味のスーツ、さらには本物そっくりのマージネックレスで登場された一城さん、はじけるような笑顔で元気ハツラツな様子は周囲を照らす太陽のようでした。また、その際の感激のあまり涙される様子を思い出すたび、こちらまで涙が出てきます。
来場した500人のファンに対して感謝のお言葉を繰り返す一城さんは、以降4回に渡ってファン感謝際に出演し続けてくださり、ずっとファンに対して感謝を伝え続けてくださいました。
感謝祭以外にもたくさんお会いできる機会を作ってくださいました。
楽しいお話をたくさん聞かせてくださいました。
一城さんはなぜここまでしてくださるのか?ご本人からその答えを伺ったことがあります。
『普通はここまではしないの。なぜなら(どの作品もみんな大好きで特別だけど)シンプソンズは特に特別だから。それほど思いが強いの。』
そして、それに続いて
『だってマージをまたやりたいから!』と。
このお話を聞いた瞬間、思わず涙が出ました。つまり、ファンへの最大の恩返しは、再びマージを演じることだと考えられていたのです。
一城さんはシンプソンズのオーディション時にマージの絵を一目見た瞬間、この役をどうしてもやりたい!とマネージャーさんに直訴。見事、役を勝ち取った報告を受けた際には、夜中なのに家の中で万歳三唱をしたほど大好きで特別な役であったことに加え、吹き替え版のTV放送時代の紆余曲折を経て、さらにそこに劇場版の声優変更騒動、ファンによる署名運動、TV版オリジナルキャストによる吹き替え版制作、ファン感謝祭と、ほかの作品ではないような濃い思い出がたくさんあったのです。
それほど思い入れがあるわけで、声優変更の際には『まるで自分の両腕をもがれるほど苦しかった』と語られており、一城さんのマージ、そしてシンプソンズという作品への思い入れの強さを、我々も強く感じるとともに、ここまでの熱意をもって演じられていたこと、ファンとしてとても誇らしかったのです。
(もちろん、シンプソンズに限らず声優変更については、自分がそうであったように次に決まったキャストの方にとってもうれしいことなの、と気遣われていました)
また、大御所の大平透さんとの見事なチームワークで現場を盛り上げられ、この雰囲気は我々ファンの前でも同じものでありました。
作中のホーマーとマージのように、現実世界でもパパの大平さんがファミリーをまとめ、ママの一城さんがパパのサポートをしながらファミリー、ファンを優しく包み込んでいました。
ことあるごとに、シンプソンズの魅力、大平透さんの偉大さ、そして大平さん率いる日本版シンプソンズチームの作り出してきた世界観のすばらしさを語られていました。
そして、そんな一城さんを我々は15年間ずっと見てきました。
楽しいこと、ときには悲しいこと、いろんな感情を、僭越ながらファミリーのような感覚で共有させていただいていました。
そんな一城さんに少しでも感謝の恩返しができればと、この15年歩んできました。
そのひとつとして、毎年母の日とお誕生日にはお花を贈らせていただき、その度にご丁寧にメッセージを頂戴しておりました。もちろん、ついこの前まで。
シンプソンズ🌻ファンクラブの皆様から、お誕生日🎂と母の日に🤱長い間お花と一緒に私の演じたキャラクターのカードを送って下さいます💐
— 一城みゆ希 (@miyuki175922823) 2023年8月28日
今年の私のキャラは、(ぼくの夏休みのおばちゃん)でした🍉懐かしいです〜🌻 pic.twitter.com/zx31C7wZAK
シンプソンズ🌻
— 一城みゆ希 (@miyuki175922823) 2023年5月13日
ファンクラブの皆様💐
今年も母の日に🤱素敵なお花を有難う御座います❤️
私達の吹替えは…とっくに…ですのに…。
毎年 birthdayと母の日には
長い間、本当に長い間、皆様の真心にマージは、心から感謝の思いでいっぱいです🌈
有難う❤️
心から有難う💕マージ🙋♀️ pic.twitter.com/lZ5OQ3nLs3
我々が最後に一城さんとお話したとき、一城さんは『パパ(大平さん)の痕跡が世界からなくなってしまうのは悲しすぎる。こんなに素晴らしい声優がいたことを伝えていかないと。』と語られていました。
そのとき我々は、マージママの強い想いに心を打たれながら、即もちろんです、とお答えしていましたが、まさかこんなに早く一城さんまで旅立たれてしまうとは予想もしていませんでした。
我々は、一城さんとの約束どおり、シンプソンズの魅力、大平さんの魅力、日本版シンプソンズの歴史をこれからも発信し続けていきます。
そして、そのときの約束にもう1つ付け足させてください。
一城みゆ希さんという、周囲を明るく照らす優しいマージママのような声優さんがいらっしゃったということをこれからもずっと伝えていきます、と。
一城さんが長年にわたり担当されていた帯ラジオ番組の金曜日ラストの決めセリフに「お相手は“あなたの一城みゆ希”でした」というものがありました。
一城さんは、ひとりひとりにまさに“あなたの一城みゆ希”として笑顔と元気を与え続けられた結果、“みんなの一城みゆ希”であり、“みんなのマージママ”になっていたのだと思います。
突然のお別れすぎて、何の整理もつきませんが、とにかく感謝の気持ちで一杯です。
大平さんがホーマーだったことと同様に、一城さんがマージだったから、我々はここまでやってこられました。
太陽のような一城さんにはいつも助けていただきました。おかげさまで、とても素敵な15年間になりました。
一城みゆ希さん、マージママ、本当に本当にありがとうございました。
(これからリリースされる一城さんの出演作もたくさんあるものと思います。一城さんが魂を込めて演じられた作品をぜひたくさんご覧になっていただきたいです)