シンプソンズ・ファンクラブ・ブログ

「ザ・シンプソンズ」を日本で広めるために日本語吹替版のエピソードガイド、グッズを買えるお店の紹介、大平透さん使用のアフレコ台本の研究、等々を掲載しています。

大平さんのシンプソンズ台本:シーズン3、第9話「ホーマーは父親失格?"Saturdays of Thunder"」

シーズン3、第9話「ホーマーは父親失格?"Saturdays of Thunder"」November 14, 1991

(日本初放送日:1993年11月20日、録音日:1993年8月19日)
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日本ではシーズン3の第8話として放送されました。
ただし、吹き替えはシーズン3の第6話として収録されたため、台本のナンバリング上は#6になっています。


<以下、ネタバレになります>


【画面】(台本上の通信欄)

・01:35 ホーマー シュガー・キューブを買ってる

ホーマーのセリフ「これはヒットだったよなー」に対する状況説明

・09:29 字幕「国立父親研究所」

・14:19 バートの車とまる

状況説明

・16:46 病院
状況説明

・17:13 字幕「決勝戦

・19:42 ネルソン《 》

ネルソンのセリフ(煙草を吹かす息遣い)がアナウンサーのセリフと被るためこちらに



【音声】

・01:39 今回のあのトロイ

「“バック・ヘンダーソン”、“ユニオンバスター”、“トロイと仲間のスマイルファクトリー”など よく昔のテレビシリーズに出ていたあのトロイです」

・02:29 リビエラ曰くエドガー・アラン・ポーの墓がピカピカになったのを見たホーマー

台本上は「《 》ずい分キレイになるなあ~」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「《オーウ》ずい分キレイになるもんだなになっています。
語尾の調整でホーマーの口パクに合わせつつ感心している声色でソファでくつろぐホーマーを表現されています。

・02:50 通販おきまりの展開にしっかり乗っかるリビエラ
初期リビエラの声を担当されていた広瀬正志さんのインチキ臭い雰囲気のお芝居が最高です。

・03:12 まさかのディスカウントに興奮を隠し切れないホーマー

大平さんの台本には、大興奮のホーマーを表現するため息遣いがメモされています。

・03:26 セルマとパティの訪問に愚痴るホーマー
台本上は大平さんホーマーだったらきっとこう言うと考え抜かれたであろうセリフ「この忙しいのに来るなってんだよもう」とありますが、そこに大平さんがちょっと手を加えられ「この忙しいのに来るなんてなんだよもう」に。
細かな言い回しまで一切妥協無しで、とにかくベストの表現を追求される大平さんです。

・04:26 リサのビデオを借りに行くとの提案にホーマーは・・・

原語版では“Anything for my little girl.(直訳:娘のためならなんでもする)”ですが、翻訳家の徐さんの手にかかると「娘の為ならエンヤコラ」に。さらに、大平さんの演出も加わり、最終的な音声では「娘の為ならエンヤコラになっています。
素敵すぎる日本版シンプソンズの世界です。

・04:44 レンタルビデオ屋のテレビに映し出されるマクベインを見つけるホーマー
台本上は「あーマクベイン」とあるところ、最終的な音声ではーマクベインになっています。
こちらも細部までこだわられています。

・04:47 マクベイン

マクベインはスキナー校長役等の青森伸さん、その相棒スコーイはカール役等の辻親八さん
完全に当時の洋画劇場吹き替えの様相です!

・06:39 美容院での姉達とマージ

一城さんのマージとセルマの演じ分け、嫌味な雰囲気を存分に表現されているパティの鈴木れい子さんのお芝居は必聴。
最後の唸り声の部分は「マージ、パティ」とセルマが入っていないことから分かるように、一発録りで一城さんが声色を変えながらマージとセルマを演じられていたというわけですね。

・07:57 父親指数テスト中のホーマー
マージからバートの趣味を聞かれ大外ししたホーマーの投げやりなセリフ、台本上は「じゃ趣味はない」とあるところ、最終的な音声では「じゃ趣味はないになっています。
たったの「よ」1文字分ですが、この中にホーマーのうんざりしている雰囲気が詰まっています。

・08:24 情けないホーマー

大平さんホーマーでお馴染みの「トホホ・・・」、情けなさ満点で最高ですね!

・08:46 国立父親研究所に電話をかけるホーマー

声を電話の音質に加工するため、この部分だけ後から録音されたようです。

・09:03 バートの車にパーツがふんだんに使われている秘密
台本上は「ソープボックスレース優勝3回のロニー・ペックは警備が手薄な工事現場はパーツの宝庫だと言ってた」とあるところ、最終的な音声では「ソープボックスレース優勝3回のロニー・ベックは警備が手薄な工事現場はパーツの宝庫だってになっています。
ここではバートの口パクに合わせてセリフがちょっと短めになったようです。

・09:51 研究所のデイブから子育てについて助言されたホーマーは・・・
台本上は「そりゃ言うのは簡単だよ それができないからこうして来てるんじゃないか・・・」とあるところ、最終的な音声では「そりゃ言うのは簡単だよ それができないからこうして来てるんじゃないか・・・」に。
ホーマーの皮肉な感じが、追加された「よ」でさらによく表現されています。
また、大平さんが喋りだしの部分をあえてデイブのセリフにかぶせ気味にしているところも、ホーマーのいら立ちがよく表現されていますよね。

・10:13 なにより努力が重要だと聞いたホーマー

台本上は「地道に努力するのは嫌いじゃない」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「地道に努力するのは嫌いじゃないになっています。
威勢よく分かりやすくウソをついているという天然なホーマーのユーモアを、「ヨ」によってさらに加速させています。

・11:27 ビル・コスビーの本をちゃんと理解するホーマー
台本上は「じゃさせたい事と反対の事を言えばいいわけだ でもそれは複雑すぎるよ」とあるところ、最終的な音声では「じゃさせたい事と反対の事を言えばいいわけだ でもそれは複雑すぎるなあになっています。
大平さんホーマー特有の語尾の「~なあ」は、ちょっと甘えた感じのダメな感じが存分に表現されていて、とても魅力的です。

・11:40 視聴率競争のライバルだったビル・コスビーを褒めるホーマー
台本上は「やったねビル・コスビー シンプソンの救世主」とあるところ、最終的な音声では「やったねビル・コスビー シンプソンの救世主になっています。
語尾の「だ」の追加で口パクぴったりに。

・11:52 仲睦まじくソープボックスカーレースに励むホーマーとバート

台本にない部分も大平さんが原語版を聞きながらメモをされた内容で、大平さんがしっかり声をアテられています。

・12:25 似たもの親子だというホーマーに対してマージは・・・

台本上は「《 》そうよ」とあるところ、最終的な音声では「《うーん》そうになっています。
一城さんの優しくホーマーの話を聞くマージのお芝居、素敵です。

・12:49 スタッフにクレームをつけるホーマー

台本上は「息子がかぶりたくないっていってるもん無理にかぶせるな」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「息子がかぶりたくないっていってるもん無理にかぶせるこたァないだろう(に)になっています。
ホーマーが威勢良くちょっと江戸っ子ぽく啖呵を切るセリフも、大平さんならではの表現で味わい深いです。

・13:13 バートに話しかけるネルソン
台本上は「よォバート チンケな車持ってきたな」とあるところ、最終的な音声では「よォバート チンケな車持ってきたかよになっています。

・13:29 S1『バートン将軍』に出てきた子分たちにゴージャスな車を持ってこさせるネルソン
台本上は「気をつけろやっと盗んだバンパー」とあるところ、最終的な音声では「気をつけろやっと盗んだバンパーになっています。
また、その後のネルソンの「空耳だよ」は、最終的には「空耳_になっています。
初代ネルソン・安西正弘さんの悪ガキな表現の数々が輝きます。

・15:28 決勝に向けてノリノリなホーマー
台本上は「よしバート 改良するとこがいっぱいある 決勝までの2週間学校休んでいいからな」とあるところ、最終的な音声では「よしバート 改良するとこがいっぱいある 決勝までの2週間学校休んでいいからな」になっています。
たったの「も」1文字ですが、バート学校休ませたくてウズウズしているツッコミどころ満載のホーマーがよりよく表現されているように感じます。

・15:51 どうしてもマーティンの車に乗りたいバート

台本上にある(長め口パクあり)との指示は、台本上のセリフを普通のペースで読んでしまうと口パクが余ってしまうという注釈なわけですが、バートの堀さんはこれを確認されたうえで、その後の「ご免ね」のセリフを長めに言うことで口パクを調整されたようです。
このあたりのテクニックも職人技ですね。

・16:14 ホーマーが乗って力なくバラバラになる稲妻号

原語版ではホーマーの情けない“Ow”であるところ、台本のメモから分かるように当初大平さんも原語版に忠実な「アウ」を検討されていたようですが、最終的な音声では「ナハ」になっています。
懐かしのコメディアン等からセリフの引用をされることもあった大平さん、今回はせんだみつおさんリスペクト。

・16:58 ホーマーに見つかるマーティン

台本上は「バート君のお父さん お怒りはごもっともだと思います 息子さんはあなたを愛してるんです」とあるところ、最終的な音声では「バート君のお父さん お怒りはごもっともだと思います でも息子さんはあなたを愛してるんです」になっています。

・17:03 怒りのあまり叫ぶホーマー

本気でマーティンが逃げるのも納得な、大迫力の叫び声。
これも大平さんならではのパワフルさ!

・17:19 マージにふてくされないように注意されるホーマー

台本上は「ふてってるのはお前だろ」とあるところ、大平さんによって手が加えられ「ふてってるのはお前だろになっています。
いじけてる様子を表現するとともに口パクぴったりに。

・17:21 ホーマーには来てほしいバート
台本上は「親父も来てよ 帽子冷蔵庫で冷やしといたよ」とあるところ、最終的な音声では「親父も来てよ 帽子冷蔵庫で冷やしといたからになっています。

・17:42 マージから父親失格宣告されるホーマー
台本上は「放っといてくれ」とあるところ、最終的な音声では「放っといてくれになっています。
へそを曲げたホーマーのしょぼくれた「よ」が、彼のみじめさをより強調します。

・18:37 子どもの話をしたという既成事実を作るためだけにフランダースに話しかけるホーマー
台本上は「あー男の子っていつからデートするべきだろ?」とあるところ、最終的な音声では「あー男の子っていつからデートするべきだろ?」になっています。
ちょっとチグハグなセリフ運びに、追加された「な」でホーマーの心ここにあらずな感じを表現されている大平さんです。

・18:47 ホーマー、気持ちを立て直す!!

大平さんが台本に矢印で示している部分は、勢いを取り戻したホーマーの元気さ満点の胸躍るセリフに仕上がっています!ちょっとザ・シンプソンズ MOVIE』のラストっぽい?

・19:23 熱血マーティン
台本上は「父親の事は忘れろ!レースの事だけ考えろ!」とあるところ、最終的な音声では「父親の事は忘れろ!レースの事だけを考えるんだ!」になっています。

・19:55 レースに送られる大声援

大平さんのメモからも分かるように、演者の方々総動員で応援される声を入れられていたことが分かります。
ベテランの皆さんのガヤ、ぜひ耳を澄ましてお聞きください!

・21:07 バートの勝利を称えるネルソン
台本上は原語版に忠実に「お前の勝ちだシンプソン」とあるところ、最終的な音声では「お前の勝ちだバートになっています。

・21:25 似たもの親子のホーマーとバート

大平さんホーマーと堀さんバートの「ニャーニャニャニャーニャ」が楽しい。

・おまけ:今回のワンポイント

SUPER7 ザ・シンプソンズ・マクベイン 3.75インチスケール リアクションフィギュア
本エピソードに登場するマクベインをモデルにしたフィギュア。
劇中同様にホットドッグ付きでパッケージも凝ってます!ちなみに、撃たれた相棒スコーイもフィギュア化されています。
マニアックすぎるイカれたイカしたラインアップでコアなファンからはウケがよかったシリーズなのですが、D社との契約終了に伴い新規リリースがなくなってしまったのが残念な限り。
日本では我らが豆魚雷さんが正規輸入代理店になっていました。マニアック商品を扱っていただけたこと、さらに今でも別メーカー(Jakks Pacific社等)の製品を取り扱い続けられていることに感謝です。今後ともよろしくお願いいたします!!